ども、岡田達也です。

 

 

 

「そうだ、福岡ドームに行こう!」

思い立った。

 

長年のホークスファンでありながら

実は福岡で試合を観たことがない。

一度だけ福岡ドームに行ったことがあるが

その時はバックステージツアーで中を回っただけだった。

 

 

博多の友人にチケットを頼んでみたが

『鷹の祭典』で、オマケに土曜日ということもあり

関係者のチケットはまったくないとのことだった。

 

ダメ元で当日券を狙ってドームに行ってみた。

 

 

「S席とA席と外野の立ち見がございますがーー」

 

おっ!

チケット、まだあるじゃないか!

 

ここでケチってどうする?

次はいつ観られるのかわからないのだ!

 

僕はいつもより男前な声で言った。

「もちろん1塁側のS席をお願いします」

 


『鷹の祭典』というのは

いわゆる「ファン感謝デー」的な要素があり

毎年、数試合開催されている。

たまたまそのタイミングに当たった。

 

『鷹の祭典』の何が嬉しいって

レプリカユニフォームがタダで貰えるのだ。

なんと一試合で4万枚以上。

「どんだけ太っ腹なんだ、ソフトバンクさんよ?」

と思うがファンとしてはありがたい。

 

実は……

このレプリカユニフォームを毎年プレゼントしてくださるファンの方がいる。

おかげさまで僕は全色持っている。

この仕事をやっていると「休む」ということができないのだ。

行きたいイベントだって

聴きたいライヴだって

観たい芝居だって

泣く泣くガマンすることなんていっぱいある。

本当にありがたい。

 

で。

今年は初めて自分でユニフォームをゲットすることができた。

 

 

お恥ずかしい話だが……

この時点でかなり浮かれていた。

浮かれポンチだった。

 

そりゃそうだ。

初めての福岡ドームでの観戦

初めての『鷹の祭典』

初めての自力でユニフォームゲット

 

僕の足は地面から3cm浮いてた。

 

 *

 

そんな浮かれた50歳がルンルンで歩いていると

可愛らしいお姉さんの声が聞こえた。

 

「ホークス球団創立80周年記念ビールを発売しております! 一杯いかがですか?」

 

9割……

いや、ひょっとすると10割の人が「それは違う!」と否定するかもしれないが

僕にはわかっていた。

僕だけにはわかっていた。

 

あの可愛らしいお姉さんは“僕に”話しかけてきたのだ。

 

4万人の人間がいて

その中から

“僕に”

“ビールを”

“どうぞ”

と言ってきたのだ。

 

確かに

たまたま偶然、僕が、彼女の目の前を通った

という言い方もできる。

 

だが。

僕は“いつもより3cmも高いところ”から世の中を見ているのだ。

真実はわかっている。

 

僕は痛風の危険性が高まるのと引き換えに、男気を見せた。

 

 

僕の足は地面から5cm浮いていた。

 

 *

 

「あ……」

 

ここでようやく気付いた。

 

「そうだ、僕が観に来たってことは……」

 

そうなのだ。

悲しいかな、僕が球場に行くとホークスは負ける。

3試合観に行って、勝つのはせいぜい1つ。

勝率はなんと3割ちょっとしかない。

 

……僕は疫病神なのだろうか?

 

いやいや

考えすぎだろう

そんなに自分を追い込まなくてもいいじゃないか

 

僕はスタンドに入った。

 

 *

 

3時間後。

僕の足はきっちり地面に接地していた。

そして僕は確信した。

 

間違いない

 

オ、オ、オ、

オレがホークスの疫病神なんじゃぁぁぁあああ!!!!!

 

先発の摂津投手が3回KOで

相手の岸投手は1失点完投で

完全なワンサイドゲームになってしまったではないか!

 

初めての福岡ドームなのに!!!

初めての鷹の祭典なのに!!!

奮発してS席で観たのに!!!

売り子のお姉さんに男気を見せたのに!!!

 

……

……

 

 *

 

でも良いのだ。

初めての福岡ドームでの観戦、十分に楽しんだ。

 

躍動する選手を観ているだけでワクワクできる。

それに「期待をかける人がいる」ってのは素晴らしい。

 

次の一球は

次の打席は

ってドキドキできるのがたまらない。

 

おこがましいのは承知で言うと……

僕の本職もそうでありたいなぁと思った。

 

僕がグラウンド上の選手たちを観たらそれだけで元気がもらえるように

「この人の芝居を観たら元気出た」って言われたい。

 

それに

「この人なら」って期待される存在でありたいものだ

……と。

 

 *

 

一つだけ心残りは

今、最も応援している柳田選手がケガで欠場していたこと。

 

つまり

僕が最も期待していて、ワクワクさせてくれる選手。

 

仕方がないのでパネルと2ショットでガマンしておこう。

 

 

人生でのやりたいことがまた一つ、実現しました。

 

 

 

では、また。