ども、アンダースロー岡田達也です。

 

 

 

『ドカベン』の連載が終了した。

 

僕はドンピシャの世代だ。

主人公・山田太郎がプロ野球に入った辺りからは読まなくなってしまったが

明訓高校時代はとても楽しみにしていた。

 

 *

 

小学生の時

僕は野球部には入らなかったけど

もちろん野球は大好きで

休憩時間のたびに

廊下だったり校庭だったりで遊んだものだ。

(この場合は、柔らかいボールを使ったハンドベースボールです)

 

ある日のこと。

誰が言い始めたか

“ややこしい縛り”が決められた。

 

『ドカベン』の登場人物になって野球をやる、というルール。

 

 *

 

ここから先

『ドカベン』を読んだことない人にはわからない話で申し訳ない。

 

 *

 

ジャンケンでやりたいキャラを決めるならわかる。

そのときは

大事な大事なキャスティングを

クラスのガキ大将であるSくんが半ば強引に決めてしまった。

これこそがガキ大将がガキ大将である所以だ。

 

 

Sくんは「オレ、岩城!」と叫んで

さっさと自分のポジションを確保してしまった。

 

……おいおい

岩城はいいよな……

葉っぱくわえて

「夏子はぁ~ん!」とか叫びながら

悪球を打てば良いのだから

つーか

あのキャラだったらやりたい放題じゃねーか

 

 

SくんはKくんに向かって言った。

「おまえ、ドカベンな!」

 

……おいおい

確かに山田太郎は主人公だよ

だけどキャスティングの理由はKくんがデブだってだけじゃねーか……

しかもKくんは右利きだぞ

左バッターで6割超えの打率を誇る山田太郎のコピーができるのか?

 

 

Sくんは僕に向かって言った。

「たつは里中な!」

 

……まてまて

そりゃ、僕はクラスの中で3番めに背が低いよ

 

つーか、そんだけの理由じゃねーか!

だったら殿馬やらせてくれよ!

いや、もちろん「小さな巨人・里中」もいいよ!

いいけど

どうせやるなら「秘打」を使いこなしてみたいし

「チック、チック」とリズムを取りながら打ってみたいし

何より

語尾に「ヅラ」って付ければ殿馬になれるし!

 

とにかく

あの“職人肌の天才”に憧れるんですけど

 

 

だが

僕の願いもむなしく。

SくんはTくんに向かって

「オマエ、殿馬な!」

と決めてしまった。

 

Tくんは小学生にしては長身だった。

とても無口で、大人しく、勉強のできる彼が殿馬にキャスティングされたのは

当時では珍しく「男なのにピアノを習ってる」という一点だった。

 

無口なTくんが小さな声でボソッと言った。

「……僕、秘打を打つ自信ない」

 

 

小学生はときに残酷だ。

 

 

今でも忘れられない。

たかだか小学校の休憩時間の話なのに。

 

それほど『ドカベン』は子供たちに強烈な影響力を持っていた

そして登場人物のキャラクターが立ちまくっていた

そりゃマネもしたくなるってもんだ

 

本当に面白いマンガだった。

 

 *

 

ただ一つだけ。

ケチを付けるわけじゃないけど……

 

あるとき鳥取県代表の高校がマンガに登場した。

それがどれだけ嬉しかったことか。

 

その名も『鳥取大砂丘学院』。

 

部員全員が鳥取砂丘で走り込みをしてるので

「みんな足が速い」というキャラで統一されていた。

 

……先生、そんな乱暴な

 

 

 

では、また。