ども、温度を当てる岡田達也です。

 

 

 

「絶対音感」とは……

ある音(純音および楽音)を単独に聴いたときに、その音の高さ(音高)を記憶に基づいて絶対的に認識する能力である。 

 

ま、早い話が

耳に入ってくる音をすべて音階として捉えられる力だ。

僕はそんな能力を持ち合わせてはない。

だが。

それに代わる“特殊な能力”を持っている。

 

あるお湯が直接肌に触れたときに、そのお湯の温度を記憶に基づいて絶対的に認識する能力。

 

僕はそれを

「絶対温感」

と名付けている。

 

 *

 

今、ホテルではなく、旅館に宿泊していることは先日の日記で書いた。

この旅館には天然温泉の大浴場がある。

それがどれだけ僕の勇気と力になったことか。

 

良い声を出すには

・体を温めること

・喉を湿らすこと

この二つが重要で、その点においてはお風呂を超えるものはないですよ

……と、耳鼻科の先生に言われているくらいだ。

 

 *

 

移動日当日。

僕とオレノグラフィティくんはチェックインの1分後には大浴場に来ていた。

 

温泉の効能を確かめる。

なるほど、大町の温泉郷は単純温泉だそうだ。

 

内湯に浸かった。

 

うわ~

気持ちいい

 

思わず声が出た。

柔らかいお湯

“少しぬるめ”の温度

(推定39度)

「いつまでも入っていられるね」

二人でそんな会話をした。

 

 *

 

翌日。

 

仕込みを終え、男優陣全員で風呂に入った。

みんな口々に好きなことを言ってる。

 

うわ~

気持ちいい

日本人に生まれて良かった

ここで日本酒飲みたいっすね

(オレノグラフィティ)

最高裁判所!

(石橋徹郎。ちなみに最高の意で使用される言葉)

僕、お風呂用の曇らないメガネ買ったんです

(筒井俊作)

 

賑やかな会話が繰り広げられる中……

僕だけは違和感を覚えていた。

 

う~ん

これは

 

お湯の温度が、昨日とは違う……

 

間違いない

こいつは

ほんのちょっとだけ温度が高くなっているぞ!

 

いや、ちょっとどころじゃない!

今日のお湯は40度近くある!

 

休みという休みを、スパやサウナやスーパー銭湯に費やしている身だ。

わずかな温度差を見落とすわけがない。

お湯の温度が1度違えば体感はまるで違ってくる。

 

僕には絶対温感が備わっているのだ!

 

「これ、昨日より熱いよね?」

僕はみんなに尋ねた。

 

「え? 昨日と同じですよ」

残念ながら同意は得られなかった。

 

 *

 

昨日。

 

朝から風呂に入った。

足を湯船に浸けようとした。

 

う、うそだろぉ

あ、熱いよ

 

いや、熱いなんてもんじゃない……

 

確実に42度まで上がってるぞ!

 

だって肌がビリビリするのだ。

30秒後には浸かった部分の肌が赤くなってるのだ。

切り傷や擦り傷がめちゃめちゃしみて痛いのだ。

 

これは……

一体……

何の間違いなんだ?!

 

だって二日前まで

「温めの温度が気持ちいいね」

って語ってたんだぞ!

 

なんでたったの二日で

こんなガマン大会みたいなお湯に変わってしまったのだ?

 

これは何かの間違いなのか?

 

悩んだ僕は時間帯を変え、夜もお風呂に入ってみた。

 

きた

きたきた

 

推定温度42,5度。

 

またもや上がった。

 

湯船に浸かりながら

我慢

辛抱

忍耐

の文字を頭に浮かべ、ひたすら耐えた。

 

風呂を上がると毛穴から汗が吹き出した……。

 

 

その後。

オレノグラフィティくんと酒を飲みながら語った。

彼も温度の変化に気付いていた一人だ。

 

「えぇ、間違いなく熱いです」

 

「ここのお湯はすっかりかわってしまったね」

 

「何が目的なんですかね?」

 

「これはあくまでも俺の想像だけど……」

 

「なんですか?」

 

「俺たちを風呂に入らせまい、としてるんじゃないか?」

 

 *

 

今から朝風呂に入ってくる。

 

もう、今から怖い。

もしもこのペースで温度が上がっているのなら今日あたりは43度になってるはずだ。

 

宿がどこまで温度を上げるつもりなのか?

身をもって確かめてやろうじゃないか

 

 

ダチョウ倶楽部の熱湯風呂はもう目の前まで迫っている。

 

 

 

では、また。