ども、無駄に短パンを買ってしまった岡田達也です。

 

 

 

『無伴奏ソナタ』

松本公演を終え、塩尻に移動した。

 

長野県。

僕のイメージでは

アルプスの山並みに囲まれて

どちらかといえば“涼し気な”イメージのある土地だった。

実際、軽井沢などは「避暑地」と呼ばれているし。

 

ところが。

塩尻駅の改札を抜けた僕の第一声は

「あ、暑い。とんでもなく暑いじゃねーか」

 

いや、正確な音を書くと

「あつい」じゃなく「あぢぃ~」だった。

 

この日差しはマズい。

ただでさえ黒い顔色がさらに日焼けして黒くなると、照明さんにまた怒られてしまう。

「明かり当てても顔が見えないんだけど!」と。

 

仕方がないので徒歩15分の道のりをタクシーで移動することにした。

 

 *

 

運転手さんは気のいい人だった。

僕が乗り込むとすぐに話しかけてきた。

 

「今日は暑いですね」

 

「そうですね」

 

「30度まで上がるそうですよ。 フフ(笑)」

 

「そうなんですか」

 

「東京からいらしたんですか? フフフ」

 

「そうです」

 

「ひょっとして避暑地だと思って来ちゃいました? フフフ」

 

……なんでいちいち笑うんだろう?

 

「いやいや、仕事で来たんですけど。でも、まぁ、予想外の暑さですね」

 

「でしょ? 昔はね、こんなことなかったんですけどね」

 

「そうなんですか?」

 

「塩尻の人間は誰一人、エアコンなんて使ってませんでした」

 

「……」

 

「エアコンを知らない人間もいたくらいですから。フフフ」

 

……それはウソだろ

 

「今はね、みんな、エアコン漬けです。フフフ」

 

……なんだ「漬け」って?

 

「アレです、ほら、アレの影響でーー」

 

「温暖化ですか?」

 

「そうそう、それそれ! フフフ」

 

「まぁ、日本全国そうなんでしょうね」

 

「明日も30度、いきますよ!」

 

……あなたが塩尻の気温を決めているのか?

だとしたら下げてくれよ

 

「お客さん、きっと焦げますよ。フフフ」

 

……客に向かって「きっと焦げる」ってなんだ?

なぜ脅すのだ?

そしてなぜ笑うのだ?

 

タクシーはホテルに着いた。

「お仕事、焦げないように頑張ってください。フフフ」

 

 *

 

運転手さんの言葉が焼き付いてしまったのだろうか?

 

ジーンズを一本しか持ってきてなかった僕は、宿に着いてすぐに出かけた。

短パンを求めて。

 

ホテルのすぐそばに激安の洋服屋さんがあった。

 

 

『あかのれん』

 

『あかのれん』?

 

洋服屋なのに?

 

『あかのれん』?

 

 *

 

塩尻、面白い街だ。

 

 

 

では、また。

 

 

 

追伸

キャラメルボックス・アクターズブログも更新しました。

よろしければどうぞ。

http://caramelbox-actor.blog.so-net.ne.jp/2018-06-04