ども、初体験の岡田達也です。

 

 

 

『無伴奏ソナタ』

初日の幕が開いた。

 

 *

 

初演のとき

僕はその初日を客席から観た。

そのとき僕は『容疑者Xの献身』に出演していたので

(この二本は期間が重なっていたのです)

『無伴奏ソナタ』がどんなお芝居なのか、まったく前知識がなく客席にいた。

 

ラストシーン

自分でも驚くほど感動した。

 

「なんて残酷で、優しいお話なんだろう」

……と。

 

さらにもう一つ。

それが成井さんの狙いだったのか

それとも偶然だったのかは知らないが

芝居の最後の最後

舞台上で演じられている役者の拍手に対して

客席にいるお客さんの拍手が重なっていった。

 

ごく自然に

さも当たり前のように

 

鳥肌が立った。

 

これは

すごい

 

舞台上の俳優たちに嫉妬してしまうくらい

演劇でしかあり得ない贅沢な時間が流れていた。

 

 *

 

再演のとき

これまた初日に客席から観た。

 

当たり前のように

初演のときと同じ反応が起こっていた。

 

 *

 

昨日の終演後

初日乾杯の席でばっしー(石橋徹郎さん)に尋ねた。

「初演、再演のときと反応が違ったりした?」

 

彼は三度目の出演。

僕は初めての参加。

 

初演、再演のとき、僕が客席で感じたものを

昨日は舞台上で受け止める側に回った。

 

あっちにいても、こっちにいても

それはそれは濃密な時間で

「やっぱりこの芝居はすごい」

なんて思ったわけだけど

 

ひょっとすると

「いやいや、初演、再演のときはこんなもんじゃなかったですよ」

なんてこともあり得るかもしれない。

 

それが不安でばっしーに尋ねたのだ。

 

「今日はきっとこのお話を知っている人が多かったと思うんですよ。そのせいなのかラストシーンに向かっていく中で、客席の集中力がどんどん高くなっているのを感じました。その証拠に、暗転明けの拍手の熱量すごかったじゃないですか! ブワーッって! (笑)」

 

確かに

 

「それは初演、再演と変わりませんけど、だんだん密度が増していってる気がしますね」

 

なるほど

 

 

この芝居

わりと短期間で三度目の上演となる。

 

「一度観たからもういいや」

ではなく

「もう一度観たい」

と思ってもらえる魅力を持った“色褪せることのないお話”なんだろう。

 

そして三度も上演することで、細部が練られていってるのかもしれない。

 

 *

 

これはあくまでも僕の私見。

 

このお話は面白い。

とても魅力的であって

どこで上演しても、誰が演じてもきっとお客さんを喜ばせることができる。

 

けれど

キャラメルボックスの『無伴奏ソナタ』に関しては

多田直人がクリスチャンを演じ

石橋徹郎さんがウォッチャーを演じることがマストだ。

……と思っている。

 

 

僕はこの両輪を

客席からも舞台上からも観ることができた。

 

 *

 

この芝居を観て

「キャラメルボックス、つまんない」

と思われたら諦めます。

もう「観て、観て」と、あなたを深追いして、後ろから羽交い締めにするような真似はしません。

(……ただの危ないやつだろ)

 

 

もしもお時間が合えば。

 

観に来ていた実川貴美子と。

 

 

 

では、また。