ども、「鳥取の黒い恋人」こと岡田達也です。
『無伴奏ソナタ』
連日、通し稽古をしている。
主演のクリスチャンを演じているのは
「釧路の白い恋人」こと多田直人。
あくまでも僕から見ればだが……
多田直人は、非常に客観的な視点を持って演劇を作る男だ。
何が必要で、何が不必要か?
演技の足し算、引き算をやみくもに行うのではなく、きちんと考えて実践できる男だと思っている。
そして。
自分のやっている芝居を「面白いです」とはけっして言わない男だ。
仮に多田直人が「面白いですよ。是非観てください」と発言し、
観に来たお客さんが「なんだよ、そんなに面白くなかったぞ」と思ってしまった場合
その価値観のズレを一度でも起こしてしまうと、なかなか取り返せないことを案じているから。
僕もそのタイプなので、その気持はよく分かる。
そして。
パズドラをこよなく愛している男だ。
ランクは600を超えている。
その多田がこんなつぶやきをしていた。
*
【無伴奏ソナタ】
演劇における「初めて」は楽しい。
初めての読み合わせ、初めての立ち稽古、そして今日の初めての通し稽古。
なんかすげー楽しかった。
今日もまたひとつ、思い入れが胸に刻まれてしまった。
もはや私は、この作品を客観的に分析することはできなくなってきた。
ぜひ見てみてください。
*
「すげー楽しかった」
「客観的に分析することはできなくなってきた」
「ぜひ見てください」
おやおやおや
僕から見れば、彼らしからぬ珍しい発言に思える。
でもでもでも
稽古中の多田を見ていると、それくらいのことは言っていい気がする。
『無伴奏ソナタ』、今回で三回目の上演。
彼はずっと同じ役をやってきた。
僕も唯一、『水平線の歩き方』という作品で同じ役を三回やったことがある。
さすがに三回目となると、セリフやら感情やらが、スーッと身体に馴染む感じがあって
最初は「新しいものを作るには邪魔かも」と、その感覚を無理やり拒絶しようと思ったりもしたけど
結局、「二回も上演したものをすべてチャラにするのではなく、そこベースに上積みしていけばいいか」と思い直して取り組んだ。
多田直人が三回目のこの芝居をどう思ってやっているのかは知らない。
けども
一緒に稽古していて感じるのは
彼がしゃべる言葉(セリフ)がとても身体にフィットしていて
オマケに初演再演よりも厚みが増している
……ように僕には思える。
(良くも悪くも加齢によるものだろう)
*
先輩だから上から目線で言ってやる。
『無伴奏ソナタ』は多田直人の代表作だ。
では、また。