ども、やっぱり1が好きな岡田達也です。

 

 

 

『無伴奏ソナタ』の稽古中

成井さんから、映画『ロッキー』のある登場人物を役作りの参考にしてみては?と勧められた。

 

『ロッキー』

言わずとしれた名作だ。

当然、僕も何度も見ている。

 

なんなら若い頃は

「パッパーパパパ パパパーパッパ」と

口(くち)トランペットを奏でながらジョギングしたこともあるし

生卵を飲んでみようと卵をコップ割り入れたは良いが

結局飲む勇気が出ず、卵焼きに変更したこともあるし

(そもそも飲む必要がないだろ)

「エイドリア~ン!」と意味もなく友達同士で叫んだものだ。

 

だが……

ここが僕の頭の悪さの一部で

とにかく記憶がない。

なんとなくのあらすじは思い出せるけど

登場人物の演技がどんなふうだったかなんて

どれだけ頭回転させようが

実際に頭を振ってみようが

一休さんみたいに頭の横を指でなぞろうが思い出せないのだ。

 

仕方がない。

今一度見てみるか。

 

 

昨夜『ロッキー』を借りてきた。

 

いくらバカな僕でも、さすがに見れば思い出す。

あぁ、オープニングはこうだった

そうそう、エイドリアンを口説くときはこうだった

これこれ、ロッキーは吊るした肉を拳で叩くんだ

などなど。

 

気が付けば役作りの参考など忘れてすっかり見入ってしまった。

やっぱりこいつは面白い。

 

 *

 

……あ

……そういえば

 

もう一つ

アポロとの試合のシーンになって思い出したぞ

 

僕の父・隆夫さんがロッキーとアポロの試合のシーンを見て言った。

「いや~、ないない。こんなわけない」

 

僕は、その、ちょっとバカにしたような物言いに腹がたった。

「なんでそんなこと言えるの?」

僕はムキになって尋ねた。

 

「ヘビー級のパンチは重いだで。こんなに何発も食らって立ってられんわいや」

 

「……」

 

「なんでジュニアフライ級(当時)の試合が引き分けが多いかわかるかえ? パンチが軽いからダメージが少ないだが。だけー、試合が長引く傾向になるだろ? 重量級は一発一発が重いけな。15ラウンドなんてムリムリ」

 

ボクシング好きの隆夫さんらしい発言だった。

 

珍しく

本当に珍しく

「おおっ! 我が父が説得力のあることを言ったではないか!」

と驚いたのを覚えている。

 

……

……

 

ハッ!

気が付けば本編が終わってしまったではないか!

 

役作りの参考どころか

しっかりとストーリーを楽しみ

登場人物に感情移入し

試合終了後、「ロッキー、よくやった!」と画面に声をかけ

ついでに

記憶の扉まで開いて昔を懐かしんでいるうちに

すべてが終わってしまった!

 

 

今夜、もう一度見てみようかな……

 

 *

 

記憶って連動しているものが多いんですね。

 

 

 

では、また。