ども、ホームランに出会えた岡田達也です。

 

 

 

『スクアッド』

残すところあと2日、3ステージ。

大阪公演も超満員の連続で本当にありがたい。

 

そろそろ私のことを『ジャニーズ・シニア』として認識してもらえていると良いのだけど……

 

 * * *

 

昨日、近鉄アート館の思い出について書いた。

もう一つ、大切な思い出がある。

 

 

1999年4月。

シアターアプルで『銀河旋律』という芝居を終えた僕は、みんなよりも一足先に大阪に移動していた。

その目的は関西の劇団、遊気舎の『FOLKER』を観に行くためだった。

 

この頃、僕は遊気舎のことが気になってしょうがなかった。

 

数年前から観始めて「面白いなぁ」と思っていたのだが、1996年の『ダブリンの鐘つきカビ人間』を観たとき完全にノックアウトされた。

あまりの衝撃的な面白さに、このせっかちな僕が、終演後、しばらく席を立たなかったのを覚えている。

これは誰にもわからないかもしれないが、本当にすごいことなのだ。

僕は基本的に終演後は0秒で席を立つのが通常なので。

 

それからはなるべく見逃さないようにしようと思っていた。

 

ただし。

『ダブリンの鐘つきカビ人間』のような傑作に出会ってしまったのだ。

もう、あれ以上を望んではいけない。

あんなホームランを観られたんだから、あとはヒットが観られれば十分。

ってかんじで勝手にハードルを下げていた。

 

 *

 

『FOLKER』の終演後

僕の心臓はバクバクしていた。

やはり、しばらくの間、席を立たなかった。

いや

正しくは“立てなかった”のだ。

 

四方に囲まれた舞台の中で繰り広げられる女囚たちの物語。

悲しいのに笑えて、笑えるのに泣けて。

物語のクライマックスで披露されるフォークダンスを観ながら声が出そうなのを必死でこらえた。

 

こんな作品が、まだ、出せるのか?

 

作・演出である後藤ひろひと大王のことを見くびっていたわけじゃない。

けっしてそうじゃないけど、まさか場外ホームランまで観させてくれるなんて。

 

そんなミラクル、ある?

 

脚本も、演出も

そして個性的な俳優たちも素晴らしかった。

相変わらずの久保田浩が

このとき初めて知った福田転球が

(のち、鹿殺しの『無休電車』で共演)

そして『ダブリンの鐘つきカビ人間』で強烈なインパクトを残した山本忠が。

登場人物全員のことを愛おしいと思えるなんて。

 

 

おそらくこの日記の読者で『FOLKER』を観たという方はほとんどいないだろう。

細かく物語の内容を書いてもわからないだろうし、つまらないだけだ。

ただ、これだけは書いておきたい。

その物語の中でこんなセリフがある。

 

「辛い時に笑えるやつほど強いやつはいねぇよ」

 

以来、この言葉を胸に刻んでいる。

そうやって生きたいものだ、と強く思った。

 

ま、実践できているかどうかは置いておいて、だけど……。

 

 *

 

生涯忘れられない芝居なんてそうそう出会えるものじゃない。

『近鉄アート館』で僕はそれに出会えた。

それだけでも十分に幸せで、おかげでこの建物が好きになれた。

 

そんな思い出もあって、今、この舞台に立てているのが楽しい。

 

あと3ステージ。

しゃぶりつくします。

 

 

 

では、また。

 

 

 

追伸

文中わざと敬称略してます。

先輩方、すみません。

 

それと。

明日はチェックアウトなどもあるので日記の更新が難しいかもです。