ども、日々反省だらけの岡田達也です。

 

 

 

舞台袖で反省してはいけない。

なぜなら舞台というのはノンストップで進行しているから。

反省に集中してしまうと、あなたの登場するキッカケを見失う可能性が大きくなる。

 

という話を

岡田達也の場合

そして

近江谷太朗先輩の場合

を例題にして昨日書いた。

 

もう一つ。

後輩・大内厚雄の場合を思い出したので書き記しておこう。

 

 *

 

『キャンドルは燃えているか』というお芝居の再演の時だった。

 

僕は伊丹というパイロット役

大内は竜野というある大企業の人物を演じていた。

 

芝居の冒頭、竜野が伊丹をヘッドハンティングするシーンから始まるのだが……

 

ここで、大内が、小さくセリフを噛んだ。

 

もちろんセリフは噛まないほうがいい。

だが、相田みつを先生がおっしゃる通り、人間だもの。

ある。

ミスはある。

 

何なら

セリフを噛んだりすることなく

流暢にすべてのセリフを操り

しかも感情の動きもスムースに

思い通りに完璧な演技できる……

なんてステージの方が少ないと思う。

 

だが。

逆の意味でも「人間だもの」。

 

ミスは動揺を生む。

動揺は落胆を生む。

落胆は反省を生む。

 

2人は袖にハケた。

 

そして。

次の出番も2人で登場するのだが……。

大内が先で、その後を僕が付いていくことになっていた。

 

芝居が進む。

そして、僕たちが登場するキッカケのセリフがやってきた。

 

いつもなら、ここで大内が歩き始める。

 

だが……

 

動かない。

歩く気配がない。

 

……ん?

どうした?

 

まぁ、多少の誤差はある。

ほんの1秒とかの遅れなら何てことはない。

舞台に出るまでを少し急げばいいだけだ。

 

しかし……

 

2秒経った。

 

日常なら「おい、どうした?」と声をかければ済む。

だが、舞台袖は静かにしていなければならない。

それほどデリケートな場所だ。

 

僕は、声を掛ける代わりに、大内の背中を、後ろから、突いた。

 

ヤツは、ビクッと身体を震わせ、慌てて、舞台の中に向かって歩き始めた。

 

あぁ……

きっと反省中だったんだ。

 

僕は理解した。

 

 *

 

「何で前の場面で噛んじゃったんだろう?って反省していました。スミマセン、助かりました」

 

案の定だった。

 

「おっかーさんに後ろから突かれて、さらにビクってなって、動揺しちゃいましたけど」

 

やはりそうなのか。

反省は本番が終わってからでないと、妙な連鎖を生むらしい。

 

 *

 

反省はしたほうがいい。

だが、そのタイミングを誤ってはいけない。

人間は、思ってる以上に、弱くて脆い生き物らしいから。

 

 

 

では、また。