ども、松本幸大に「たつにぃは秒の男っすね!」と言われている岡田達也です。

 

 

 

だから

そんなに早く稽古場から出てないって……

 

 * * *

 

昔々

僕がまだ若い頃。

僕は鳥取駅前にあった『まるさわ』というお店で働いていた。

たいやき、たこやき、焼きそば、お好み焼き、etc

気軽なファストフード店。

そこに、僕より1~2歳年上のアルバイトのお兄さんたちがたくさん来ていた。

 

僕は、そのお兄さんたちに、いろんなことを教わった。

 

学校では教わらないことのあれやこれや

(……別に悪いことじゃないですよ)

生きていく上で必ず役立つ実践的なこと

(……本当ですって)

人との付き合い方、お酒との付き合い方

(……あれ? おまえいくつだ?)

僕の人格を形成する上で、間違いなく大きな影響を与えてくれた。

 

「あんなお兄さんたちになりたいなぁ」

いつもそう思って背伸びしていた。

 

そのせいだと思う。

僕はず~っと「弟分気質(あるいは体質)」で生きてきた。

 

年上の人に囲まれてゴロゴロと甘えているのが好きなのだ。

 

 *

 

いつの間にか……

稽古場で「たつにぃ」と呼ばれることが多くなった。

キャラメルボックスでは「達也さん」オンリーだが、外部の現場だと「たつにぃ」が増える。

今の稽古場でもそうだ。

 

「たつにぃ」は

当然「達兄」であり

つまりは「達也アニキ」ってことだ。

 

これが、弟分気質として生きてきた人間には、とても不思議に感じる。

 

この僕が?

アニキなの?

こんなフッワフワした、地面から3cmほど浮いたまま生きてるような男が?

 

まぁ、そりゃそうだよな

50歳なんて演劇の世界では若造だったりするけど

世間一般的には立派な中年だ。

「アニキ」どころじゃない。

「たつやおじさん」とか「たつやおじいちゃん」と呼ばれてもおかしくはないのか……。

(もちろん稽古場で「おじさん」とか「おじいちゃん」なんて発言しようものなら容赦なくグーパンかローキックの刑に処するけど)

 

 

だから。

 

そう呼ばれることにいつまで経っても慣れないし

ちょっとした違和感もあるけど。

 

それでも

「たつにぃ」と呼ばれるようになってから

稽古場では

例えわずかでも

ほんのちょっとだけでも

お兄さんでいないといけないなぁ

と自覚できるようになってきた。

 

稽古場の居方も

人との接し方も

何よりお芝居も

 

結果

「アニキ」と呼ばれることに勝手にプレッシャーを覚え

それを肥やしにしているという不思議な循環。

 

 *

 

実は。

僕を初めて「たつにぃ」と呼んだのは森山栄治(『*pnish*』)だった。

僕が『*pnish*』に客演した時のこと。

その後、長い付き合いになり、結果キャラメルボックスに出演してくれるまでご縁が繋がった男。

 

本人には話したことないけど、栄治にはちょっぴり感謝している。

(言うと調子に乗るから内緒のままにしておく)

 

 *

 

「地位が人を作る」という。

 

ひょっとしたら

「呼び名が人を作る」なんてこともあるのかもしれない。

 

……いや

たぶん、生涯、弟分気質だろうなぁ。

 

 

 

では、また。