ども、アンフェアな参加の岡田達也です。

 

 

 

昨日から30-DELUX『スクアッド』の稽古に本格的に参加した。

 

すでに稽古は始まっていたのだが、『アンフェアな月』がかなりタイトなスケジュールだったので、顔を出す時間もなくやっとこさの参加となる。

 

ただでさえセリフも入ってない。

その遅れを挽回するだけでも泣きたいと言うのに。

それだけでも十分苦しいのに。

 

昨日、嫌な予感が走る瞬間があった。

 

 *

 

出演交渉の席でプロデューサーの清水順二くんはこう言っていた。

「すみません、今回の岡田さんの役は立ち回りが少なくなりそうなんですけど……」

 

いい

それでいい

 

体を動かすのは大好きだが

椎間板ヘルニアを経て

脊柱管狭窄症を発症し

膝の軟骨はすり減り

右目は網膜脈絡膜炎になり

(↑早口言葉みたいでしょ?)

オマケに痛風発病3秒前……

そんな男にたくさんの立ち回りは要らない。

 

これは覚えておいてほしい。

運動をすると「乳酸」が溜まる。

痛風は「尿酸値」が高くなると発病する。

どちらも酸性であって、実は激しい運動も痛風にはよろしくないのだ。

ウソのようだが、本当の話なのだ。

スポーツ選手に痛風が多いのはこのためだと言われている。

 

 *

 

「は~い、じゃ岡田さんまわりのシーンをさらっていきます!」

 

演出助手さんの掛け声の元

何もわからず立ち尽くしている私に

すでに決まっている動き、立ち位置、動線などが説明されていく。

 

そう

芝居はセリフだけ覚えればいいというものではない。

覚えなければならない約束事は山のようにある。

 

僕は、代役をやってくれていた子の動きを見る。

ひたすら見る。

覚えようと思って見る。

 

これが20年前なら一発で覚えていただろう。

だが……

覚えられない。

何度見ても。

悔しいが、これが加齢なのか?

 

僕は大人なので

(もちろんこのカンパニーでも最年長である)

誰にも気付かれないように

こぼれた涙を拭きながら

台本にいろいろと書き込みをした。

 

「はい、次、岡田さんのオープニングの立ち回りいきます!」

 

ん?

オープニングの立ち回り?

そんなの台本に書いてあったかな?

 

僕は演出助手の方に尋ねた。

 

「あ、それはですね、ここに一行だけ書かれている「オープニングアクト」ってところです。台本では一行ですけど5分くらいになります。で、岡田さんの立ち回りですが……」

 

待って、待って!

聞いてないぞ!

清水くんはほとんど立ち回りが無いって言ってなかったか?

それに一行が5分ってどういうこっちゃ?

 

「彼が岡田さんの代わりに入ってますので、見ててください」

 

僕は

自分より20歳くらい若いであろう

中村悠希くんの軽やかな動きを見ながら

心の中で号泣した。

 

大人だもん

人前では涙は流さないさ

 

 *

 

アンフェアなスタートになってしまった。

 

でも仕方のないことだ。

生きるとはこういうことの連続なのだ。

 

今日も表向きは笑顔で頑張ろう。

 

 

 

では、また。