ども、睡眠大好き岡田達也です。

 

 

 

あなたは朝起きた瞬間から声が出るだろうか?

例えばお気に入りの歌が上手に歌えるだろうか?

 

僕は無理だ。

 

 *

 

芝居というのは出番が多かろうが少なかろうが、疲れる。

これは「人の目にさらされている」というのが大きな原因だと思うが、1ステ終わるとドッと疲れが出る。

すると当然眠くなる。

 

さて。

マチネ、ソワレ(昼公演、夜公演のことです)が最悪だ。

昼の回が終わると、容赦なく眠気が襲ってくる。

 

ただでさえ寝るのが好きな男だ。

いつでもどこでも寝る自信はある。

逆に言えばそこしか自信がない。

(……大丈夫か、50歳男性?)

 

若い頃

その眠さに負けて20分ほど眠ってしまったことがある。

と。

起きたときに声が出ないではないか!

 

「ひょ、ひょ、ひょえ~!!!!!」

(心の声です)

 

ガッサガサの声しか出せないのだ。

 

そう

声帯がお休みしてしまって、上手く音が作れなくなっていた。

 

あの恐怖。

今思い出してもゾッとする。

 

元々、喉は強くない。

耳鼻科の先生の話によると

「岡田さんは声帯の角度が、普通の人と逆の広がりを持っているので、声を出すのにちょっと力が必要なんです」

と言われたことがある。

つまり弱点と言っていい。

 

それ以来、僕はどんなに眠くても昼夜のステージの間で眠らなくなった。

眠くなったら無理やり体を動かして目を覚ます

冷水で顔を洗う

意味もなく後輩をいじめる

方法は何でもいい。

とにかく寝ないように頑張っていた。

 

だけど……

45歳を過ぎた頃から耐えられなくなってきた。

 

砂漠を歩く旅人が水を求めるように

(おっ、珍しく詩的じゃないか)

芝居を終えた岡田達也がビールを求めるように

(前言撤回)

身体が欲するのがわかる。

 

だから最初は5分だけだった。

5分なら声帯も閉じてしまわないだろう。

実際、5分睡眠なら大丈夫だった。

 

で、10分にしてみた。

ギリギリセーフだった。

 

15分寝てみた。

ちょっとガサガサした。

なんだけど、起きた後に丹念に身体を起こせば何とかなった。

 

こうなってくるとどういうわけか開き直る。

「寝ないと死んじゃうもんね!」

「声なんて後でどうにでもするもんね!」

「寝ないとグズってやるもんね!」

(……おまえは子供か?)

 

こうして現在では20~30分くらい眠っている。

 

 *

 

昨日もお弁当を食べて楽屋で眠っていた。

 

30分ほど経ったろうか?

スッキリと目が覚めた。

 

隣の下村青さんがニヤニヤしながら言った。

「おはよぅ。あんた、ぐーすかイビキかいて眠ってたわよ(笑)」

 

え?

 

ただでさえ眠ると声帯は閉じる。

その上、イビキというのは声枯れの大敵である。

 

僕は、恐る恐る、声を出してみた。

 

「……ぅ……っ……ぅぅ……っっ」

 

ガッサガサだった。

というか、まともに音が出なくなっていた。

 

 *

 

もしも。

雪山に登って遭難して

「おい! 寝るな! 寝ると死ぬぞ!」

と相方に言われたとしても、僕は眠る派かもしれない。

 

なんでこんなに眠たいんだろう、自分?

大人なのに。

 

 

 

では、また。