ども、また一人尊敬できる先輩と知り合えた岡田達也です。

 

 

 

『アンフェアな月』

折り返しを迎えた。

 

私の人生も折り返しを迎えた。

「憎まれっ子世にはばかる」という言葉がある。

ならば私は100歳くらいまで生きるだろうから、ちょうど半分ということになる。

 

……ひょっとして

私が100歳まで生きたら迷惑とか思ってます?

 

 *

 

今回、飯田基祐さんと初めてご一緒させてもらっている。

 

基祐さんは元・方南組で、今は芝居だけでなくテレビでも活躍されている方。

『東京フェスティバル』なんかにも出演されているので、芝居は何度も観ているけど共演は初めてだ。

 

この基祐さん、とにかくセリフを練習する。

丁寧に、何度も、何度も。

劇場に入ってウォーミングアップを済ませたら、後はひたすらセリフを繰り返している。

本番同様の立ち位置で、本番と同じ声量で、本番と同じニュアンスで。

いろんな音を試しながら。

 

本当に頭が下がる。

 

練習のスタイルは人それぞれ。

ちなみに僕のセリフの返し方は全く違う方法だし。

だから基祐さんのやり方を何が何でも真似しなければ、ということではない。

 

なんだけど。

実は“セリフを練習しているところを聞かれたくない”という俳優も意外と多い。

特に若い俳優たちの中に。

 

気持ちはわかる。

「自分が下手だ」という自負があるから、セリフを聞かれるのが恥ずかしいのだ。

僕もまさしくそうだった。

誰にも聞かれたくないから、ブツブツと呟くようにしかしゃべらない。

人前では練習しない。

 

 

もう遠い昔の話だが……

僕が初舞台のとき。

開場前にセリフを練習しようと舞台上に行くと

成井さん(作・演出)が客席を歩きながら、僕のセリフを大声で、しかも全力で練習しているではないか!

 

ひ、ひ、ひーーーっっっ!!!!!

た、た、たすけてくれーーーっっっ!!!!!

 

「オマエのセリフはこうやってしゃべるものなんだよ!」

という無言のプレッシャー。

(いや、この場合は有言か?)

「さっさとこの言い方を練習してコピーしろよ!」

という爆発的な圧力。

その裏に隠された

「この下手くそがっ!」

という愛情いっぱいのメッセージ……

なおさら僕は人前で練習するのが恥ずかしくなってしまった。

 

なんと涙を誘う笑い話なんだろう。

良い時代だった。

 

話を戻そう。

 

やっぱり芝居は練習しないと上手くならないのだ。

 

当たり前だ。

頭の中だけでイメージしたからといって料理が上手くなるだろうか?

イメージトレーニングだけで150キロの球が投げられるだろうか?

んなわけない。

よほどの天才ならば話は別だろうけど。

 

それと一緒。

 

 *

 

基祐さんの堂々とした練習スタイル。

あまりにアッパレで見惚れている。

 

上手くなりたきゃ恥ずかしがってる場合じゃないんだな。

 

ま、何事もですかね。

 

 

 

では、また。