ども、子供のころ野村克也ファンだった岡田達也です。

 

 

 

昨日の朝、メールが届いた。

父・隆夫さんからだった。

 

なぜかしら……

人というのは、予感が走るときがある。

 

良い予感だったり

悪い予感だったり

 

で。

悲しいかな、大抵の場合はそれが当たってしまう。

さらに。

悲しいかな、この年齢になると良い予感が走ることはまずない。

 

もちろん、昨日もそうだった。

背中にヒンヤリしたものを感じた。

 

「おはようさんです。鳥取は今夕から雪が降るそうです。今日は2回目の息抜きをして来ます、今月のこずかい1万円を有効にすこしでもプラスになればそれで帰って来ます。父」

 

……うん

……そうだね

 

母・秀子さんが亡くなってもうすぐ三ヶ月。

一人暮らしで寂しい思いをさせてるし、たまの息抜きは大事だと思う。

しかし。

前回は勝ったから良かったようなものの、今回も同じような結果になるとは思えない。

 

お父さん

あなたにも、僕にも、ギャンブラーの血が流れているのです。

 

お父さん

あなたも、僕も、ギャンブルの怖さを知っている者同士じゃないですか。


だから、若干の不安を感じるのです。

 

僕は父の気分を逆撫でしないように返信した。

「息抜きは大いに結構ですが、ヤケドにご注意ください。もしも遊ぶだけなら、4円パチンコではなく、レートの安いものもありますよ。2円とか1円とか。結構たのしく遊べるのでおすすめです。まぁ、そんなに勝てませんが」

 

「勿論1円です、すこしでもプラスになれば食費のたしにします」

 

なんだ。

1パチか。

ならば、まぁ、地獄絵図みたいなことにはなるまい。

 

パチンコを打たない方にはまったく理解できない感覚だと思うけど……

パチンコ中毒患者というのは

「あっちの洗剤が10円安いから」と、違うスーパーに行く力を持ってるくせに、

パチンコ屋での千円札はまるで紙くずのように吸い込ませていくド阿呆どもの集まりなのだ。

 

どうか、隆夫さんが現役時代を思い出さないで、ほどほどで止めてくれますように

僕は神様と母に祈った。

 

 *

 

夕方。

再びメールが届いた。

 

「案の定8千円負けました。2千円は惣菜を買って帰りました、もったいないもったいないこれ反省しないと駄目だ。父」

 

おっ

反省の色が見られるじゃないか。

まぁ、勉強代だと思って良しとするか。

 

僕は返信した。

「それはやられましたね。大切なお金ですから、大事に使ってください」

 

その後、意味の分からない返信が届いた。

「次回は態勢を整えて挑みたいと思います」

 

 *

 

ご心配なく。

彼、特有のウィットだと思うので。

 

というわけで。

隆夫さんは元気です。

 

 * *

 

野村克也さんの妻・サッチーが亡くなった。

ノムさんは隆夫さんと同い年。

不思議なもので、テレビでノムさんを見かけるたびに、ついつい隆夫さんを重ねて見てしまうようになった。

なんとなく醸し出す雰囲気が似ているのだ。

(もちろん中身はまったく別だが)

 

隆夫さんもノムさんも長生きしてください。

 

 

 

では、また。