ども、サバを読み続ける岡田達也です。

 

 

 

人は縮むらしい。

 

 *

 

『また逢おうと竜馬は言った』の再演(1995年)のとき。

 

このお芝居の主人公は「岡本」という役名で

これがセリフも出番も運動量も多い、非常に過酷な役だった。

初演では“あの”上川隆也先輩が演じたのだが

再演では“あの”今井義博くん(劇団OB)が後を引き継いで演じることになった。

(同じ“あの”という言葉を使っていますが、意味合いは全く違います)

 

とあるステージが終わった後、演出の成井さんが言った。

「今井が縮んでる気がする」

 

いやいやいやいや

成井さん

そんなバカなですよ

いくらハードな役とはいえ

たった2時間、一本の芝居をやっただけで人が縮むわけないでしょう

 

みんなが笑った。

 

しかし。

成井さんは人の容姿に興味がない人だ。

女優陣の髪型が変わっていてもまったく気付かないのだ。

それだけではない。

大滝真美が入団当時より一回り大きくなってるが未だに気付かない。

石森美咲が入団当時より二回り大きくなってるが未だに気付かない。

筒井俊作が入団当時より三回り大きくなってるが未だに気付かない。

おそらく、加藤昌史社長が道頓堀の食い倒れ人形と入れ替わっても気付かないであろう。

そんな人が縮んでると言い張るのだ。

 

念のために検証してみようということになり

開演前と終演後に、今井くんの身長を測ったところ……

 

縮んでいた。

 

本当に

見事に

成井さんの言うとおり。

正確な数字は忘れたが1~2mmではなかったはずだ。

 

ハードワークってやつは人の身長まで削ってしまうのか

恐ろしいものだなぁ

そう思った。

 

 *

 

昨日、人間ドックに行った。

一番最初のメニューは身長体重測定だった。

 

裸足で台の上に乗った。

なんだかわからんが頭の上から自動でバーが下りてきて僕の頭を叩いた。

けしからん測り方だ。

非常に不愉快な思いをした僕に、さらなる追い打ちがかかった。

「え~っと、174.4cmですね」

 

えっ?

ちょっと待って!

 

ひゃく、ななじゅう、よん、てん、よん、せんち?

 

あの~!

僕の公称は175cmなんですけど!

ずっとそれで生きてきたんですけど!

いや、実際に175cmあったんですよ!

信じてください!

 

……いや

……ちょっと待てよ

 

そう言えば!

 

僕は看護師さんが持っていた資料を見せてもらった。

そこには去年の数字が書き込まれている。

 

身長 174.7cm

 

おおぅ!

なんてこった!

去年より3mmも縮んでるじゃないか! 

 

 *

 

おそらく

僕は毎年確実に縮んでいる。

 

これはけっして老化ではない。

もちろんハードワークの結果だ。

 

……何か言いたいことあります?

 

 

 

では、また。