ども、即興の人生を歩む岡田達也です。
昨日は稽古に行ってきた。
明後日から始まる即興芝居
チビ太ン家presents
『もっともやってみるのだ!』
https://ameblo.jp/yattemirunoda/
の稽古。
(おかげさまでチケットは土曜日の夜を残すのみとなりました)
「即興芝居」っていうのは演劇用語で
「インプロ」
「エチュード」
なんて呼び方もされる。
要は
台本が無く、役者が、即興で、自由に、何を演じても良い
というもの。
何をどう演じても良いのなら稽古も要らない気がするが
そこは真面目な筒井俊作プロデューサー
「いろいろ試してみたいので稽古しましょう!」という彼の熱意に押されて稽古してきた。
「即興芝居」と聞くと忘れられない思い出がある。
*
確か20年ほど前だったと思う。
とあるCMのオーディションに出かけた。
で、僕と同じ組にいたのが、元・東京サンシャインボーイズの西村雅彦さんだった。
当時、僕はサンシャインボーイズが大好きですべての作品を観ていた。
とにかくハズレがない。
必ず笑わせてくれる。
しかも、それが取って付けたようなものではなく、シチュエーションと感情で笑わせてくれるのだ。
あぁ、三谷幸喜さんの脚本も魅力的だけど、俳優さんたちもみんな達者だなぁ
自分もいつかこんな風になれないものかなぁ
そんなふうに思っていたときだった。
余談だが。
当時、キャラメルボックスの事務所とサンシャインボーイズの事務所は、徒歩2分くらいの距離にあるご近所さんだった。
お互いの事務所の真ん中へんにあるおもちゃ屋さんで、三谷さんがよくガチャガチャを熱心に回していた姿が懐かしい。
話を戻そう。
CM会場で僕と西村さんは写真を撮られ、用意されたセリフを読んだ。
そこまでは普通のオーディションだ。
その後、監督さんだったか、プロデューサーさんが言ってきた。
「え~っと、ちょっと二人に即興で演じてもらいたいんだけど」
おっ!
オマケで何かやってほしいということは、ひょっとすると脈ありなのか?
もう少し見てみたいってことだもんな!
でも、きっと、西村さんの方だろうなぁ
ま、仕方がないか
「飛行機の中で隣り合わせたサラリーマン二人が、何でも良いので面白おかしく……」
そのあたりまで説明したところで西村さんが口を開いた。
「あの……、それは台本は無いんですか?」
「ええ。即興芝居です」
「それはできません」
ええっ!?
僕は隣の西村さんを見た。
「セリフもなく、即興で面白おかしくなんて無理です。お笑い芸人の方ならともかく、僕たちは俳優ですから」
このときの驚きは忘れられない。
あくまでも想像だけど……
西村さんはいくらでも面白くやれただろう。
ただ、注文が「何でも良いので面白おかしく」ときたから、役者のプライドがそれを許さなかったんじゃないか
……と、今でも僕は思っている。
オーディションの現場でそれ言い切れる、俳優としての信念とプライド
しかも、「僕たち」と言ってくれたことの嬉しさ
僕は格の違いをまざまざと見せつけられた。
それが何のCMだったかさえ覚えないし
出演してないってことは二人とも不合格だったわけだけど
それでも忘れられない思い出。
*
あの日以来、いつの日か
「即興で面白おかしくなんて無理です。僕は俳優ですから」
と言ってみたいと思っているのだが、未だにその機会は無い。
では、また。