ども、学生時代はこむら返りに泣かされた岡田達也です。

 

 

 

「攣る」→「つる」

 

誰だって一度は経験があるだろう。

 

僕の場合、つりやすい場所がある。

なぜだか足の薬指。

これが実に面倒くさい。

家にいるときならまだ良い。

問題は靴を履いているときだ。

 

もっとも恥ずかしく辛かったのは、キャラメルボックスの公演で坂本龍馬役を演じていたときだった。

千穐楽のカーテンコール、何度も何度も拍手を頂き、もうしゃべることも無くなって、最後は出演者全員が舞台上で正座して挨拶しようということになった。

僕が左右のメンバーに「正座ね、正座」と耳打ちして座ろうとした瞬間……

 

「ハウッ!」

 

右足の薬指がつった。

坂本龍馬と言えば当然ブーツである。

反射的にそこを押さえようとしたのだが触れない。

みんなが正座する中、「あっ!つった、つった」と舞台上で一人で悶える姿を披露してしまった。

 

我ながらなんと場違いな男だろう。

なんと締まらない男だろう。

千穐楽だからといって、そんな無駄なサービス要らない。

 

あれはなかなか恥ずかしかった。

 

 * *

 

『ポセイドンの牙』

クライマックスシーン、僕は舞台の中央で叫び続ける。

大音量の音楽の中、拾いマイクはあれどピンマイク無しなので、かなり頑張って声量を出さなければならない。

 

昨日の本番中のことだった。

セリフをしゃべった瞬間、左側の腹筋が「ビキッ!」ってなった。

 

「ハウッ!やっべぇ!」

 

来る!

久しぶりにヤツが来る!

 

これ、普通の人はあまり経験が無いかもしれない。

腹筋って、筋トレじゃなくても、大きな声を出し続けていると「つる」のだ。

もちろん、ただの大声ではなくて、腹筋や横隔膜をしっかりと使っている場合だけど。

 

つってしまうと、もうしゃべれない。

一瞬、身体の力を抜いた。

つる直前でなんとか収まった。

 

でも、すぐに次のセリフがやって来た。

大きな声を出した。

「ビキッ、ビキッ!」ってなった。

 

「ハウッ!神さま、助けて!」

 

もう涙目である。

急いで腹筋の力を抜く。

なんとかかわす。

 

舞台上で、威厳のあるセリフを、堂々と、泣きながらしゃべる男。

 

さっぱり意味がわからない。

 

結局、どうにかこうにかつらないで済んだのだが、左の腹筋に強烈な筋肉痛が残った。

もう、今から、今日のラストシーンが怖い。

あれ、不思議なもので、つるときって割りと連続してつったりする。

(僕だけだろうか?)

 

 

まぁ、それだけ全身を使ってしゃべっている

……ということにしておこう。

 

 *

 

本日、千穐楽。

 

足の指と腹筋が同時につるなんてことがありませんように。

 

 

 

では、また。