ども、おかだまえだの岡田達也です。
『ポセイドンの牙』
ちゃんと稽古している。
(……ちゃんとやらない稽古などあるのか?)
今回は水産高校に通うおバカな男の子たちの物語。
で。
座長を務めるのが前田航基くん(18歳)。
……と聞いてもピンとこないかもしれないが、
『まえだまえだ』のお兄ちゃんと言えば「あ~」となる人も多いかもしれない。
僕もテレビで何度か見ていた。
とても可愛らしい兄弟のしゃべくりが好きだった。
当時。
こうきは左側(ツッコミ担当)。
二人ともかわいい。
そして現在。
……ずいぶん美味しそうに育った。
最近流行りのお芝居は、とてもイケてるメンズたちがわらわらと出てくるパターンが多いのだが、ウチの座長はちょいと違う。
背が低くて、ぽっちゃりくんで、プニョプニョしてる。
「昨日の夜、ガマンできなくてフィレオフィッシュと月見バーガー食べちゃいました!だからせめて今日の昼は抑えておかないと」と言いながら一応気を使ってサラダチキンを頬張っている、そんな愛嬌がイッパイ詰まったメンズだ。
それだけで安心できる。
そんなこうきだが、稽古の姿勢が良い。
演出家から要求されるものに対して、納得がいかなければ、きっちりと自分の意見(意志)を伝えて最後まで粘る。
何がズレているのか?
何でそうならないのか?
何をすり合わせれば近付けるのか?
しっかりと演出家に向かっていく。
それって当たり前のことだと思われるかもしれない。
が。
少なくとも僕はやってこなかった。
というかできなかった。
それは単純に演出の成井さんが怖かったからだ。
当時、戦える戦場スペースなど1ミリも無かった。
僕が槍を構えた瞬間に、成井さんのミサイルで、地球は木っ端微塵に砕けたであろう。
そんな勇気、僕は持ち合わせていない。
僕のせいで地球が滅びるなんて申し訳無さすぎる。
だからひたすら息を潜めるしか無かった。
で、それは成井さんに限らず、70~80年代に旗揚げされた劇団の演出家の多くがそうだったらしい。
どこの演出家のミサイルも破壊力は満点だったそうだ。
だから、おそらく、だけど
僕と同じように「ノー」と言えない俳優さんはいっぱいいる気がする。
特に僕と同じくらいのキャリアの俳優の中には。
話をこうきに戻そう。
とにかく、自分の中に(キャラクターやセリフを)落とし込みたいという、俳優としての純粋な欲求が高い。
稽古場で見ていて思う。
こいつ、まだ18歳だよな
えらすぎるぞ
稽古場で演出家と相対して、きちんと戦えることを身に着けているなんて
素晴らしいぞ、こうき
そんな姿を見ていると、おじさんも「やれることをやってやろうじゃないか!」という気になる。
神輿は担ぎ甲斐がある方がいい。
残りの稽古で、
どれだけ刺激を与え、
どれだけ高校生たちの邪魔をし、
どれだけ一緒に遊べるか?
*
昨日の稽古中に、こうきが言った。
「夜、夢見たんですよ!達也さんがオレにブチ切れてて!「あ~、もうダメだ!オレもう稽古場に行けねぇ」って思った夢です!」
「え?オレは何で怒ってたの?」
「それがわからないんですよ!」
夢って深層心理だよな……
だとしたら、すでに刺激を与えすぎなのかもしれないな……
がんばろうぜ、座長!
では、また。