ども、「哭きの達」こと岡田達也です。
私はゲーマーではない。
若い人たちにはわからないかもしれないが、子供のころ『インベーダーゲーム』なるものが登場し、夢中にはなった。
が、そもそもインベーダーをやるには喫茶店に行かなければならなかったし、
(信じられないかもしれないが、当時、インベーダーは喫茶店のテーブル代わりに設置してあった)
それに1ゲーム100円と高額だったので、子供が手軽に楽しめるものではなかった。
僕が中学生くらいのとき、ゲームセンターが何軒かできたのだが、迂闊に遊びに行く場所ではなかった。
当時のゲーセンは「ゲームを楽しむ場所」ではなく、「他校の生徒とメンチをきりあい根性比べをする場所」という色合いが強かった。
だからゲームを楽しむどころではない。
「腐ったミカンの方程式世代」のみなさんなら心当たりがあるだろう。
その後、ファミコンなるものが登場して、家でも手軽にゲームが楽しめるようになった。
僕ももちろん欲しがったのだけど、親にはまったく相手にしてもらえず買ってもらえなかった。
今にして思えば、それがキッカケだったのかもしれない。
僕はまわりの友だちに比べてゲームに執着しなくなった。
そんなゲームより、父親に連れて行かれる雀荘だったり、パチンコ屋の方に興味が向いた。
(……絶対におかしいよ、キミの人生)
そんな私だが、今、一つだけスマホにゲームが入っている。
『パズドラ』というゲームだ。
と言っても、これも熱心にやっているわけじゃない。
稽古終わりに10分くらいやると頭が切り替わるので、クールダウン的に遊んでいる。
昨日も稽古帰りに地下鉄の中でスマホを取り出し、パズドラをやろうとした。
隣に美人のお姉さんが座っていた。
お姉さんと言っても、当然僕より年下で、おそらくは30歳前後だと思われる。
会社帰りのOLさんだろう。
青い上下のスーツが良く似合っている。
いかにも「デキる」感じの香りが漂っていて、私なんかとは正反対の人生を送っていそうな人だった。
そのお姉さんがスマホをいじっていた。
それはいい。
それはいいのだが、時おり「フンッ」とか「んっ」とか「やっ」いう吐息が聞こえてくるではないか。
しかもその吐息が、何というか、鬼気迫るものがある。
これだけで私のおもしろレーダーのメーターは振れる。
“地下鉄の中で出会った綺麗なお姉さんの鬼気迫る吐息”
たぶんスマホでゲームをやってるんだろうな。
それは想像付く。
だけど、そんな強めの息を吐くゲームって……
詳しくはわからないがシューティング系のゲームなんだろうか?
そのときだった。
お姉さんが力強く「ハッ!」と言いながら画面にタッチし、前屈みになった。
思わず体が動くほどのアクション。
かなり熱が入っている証拠だ。
見るつもりはなかったが、僕はチラッと横目でお姉さんを見てしまった。
ええっ!!!
おいおいおい!!!
そうなのか?
お姉さんは確かにゲームをやっていた。
そのゲームは麻雀ゲームだった。
麻雀がわからない方には申し訳ないが、このゲームは牌を捨てるときにワンタッチすればいい。
普通に触ればいい。
なんなら、優しく、ソっとでいい。
決して連打するものでもない。
が。
お姉さんは捨て牌するたびに、力強くスマホの画面にタッチし、気合の吐息を漏らしていたのだ。
……
……
お姉さん
僕も雀士ですから気持ちはわかりますよ
だけど
そんなに力まなくていい
ひょっとして、今日、会社で何かありましたか?
余計なお世話かもしれませんが、地下鉄の中でその気合を発することができるのなら、フリー雀荘に行かれたほうが良いと思います。
思う存分、鉄火場に身を置いて戦ったほうが良いかもです。
いつかお手合わせ願いたいです。
地下鉄の中でゲームを楽しむみなさん
静かに楽しみましょうね。
では、また。