ども、自由に育った岡田達也です。
先日、『世襲戦隊カゾクマンⅡ』の旭川公演でホテルに泊まっていたときのこと。
そのホテルには最上階に大浴場とサウナがあった。
宿泊客は600円払えば入れるというシステム。
そんなにすごい風呂ではないだろうと想像はできたが、
・でかい風呂が好きだ
・せっかくだから
・サウナで痩せたい
(↑間違った考え方の典型)
などの理由から、600円という大金を払って大浴場をパトロールすることにした。
残念ながら天然温泉でもなんでもなく、普通にデカい風呂というだけだったが、旭川の街を眼下に眺めながらの入浴は気持ち良かった。
一組の親子が入っていた。
お父さんは僕と同い年くらいだろうか?
小学校高学年の男の子と、低学年の男の子の3人。
僕がサウナの扉を開けたとき……
お兄ちゃんが後ろから付いてきてサウナに入ってきた。
僕は段に座った。
お兄ちゃんは入ってすぐに「あっちぃ!」と叫んだ。
アハハ
なんとも可愛らしいではないか。
そうなんだよ
サウナって熱いんだよ
覚えておけよ、少年
これも人生勉強だぞ
僕は話しかけた。
「どうだ? 熱いだろ?」
お兄ちゃんは驚いたようにこっちを見て、一瞬どうしたものか?と考えたようだが、そのまま黙って出ていった。
ありゃりゃ
驚かすつもりは無かったんだけど
そうだよな
見知らぬおじさんに話しかけられたら、どう答えていいかわからないよなぁ
悪いことしたな
もう話しかけないから戻ってこないかな
なんて思っていると……
表から怒鳴り声が聞こえてきた。
「おいっ! 子供は入っちゃダメだって言っただろ!」
えっ?
なんだ、なんだ?
どうした?
「なんで入るんだよ!」
あれ?
お兄ちゃんがお父さんに怒られてるぞ
「あれは大人が入るもんなんだよ! 」
うん
まぁ、子供は入らないけど
でも入っちゃいけないというルールはないよな?
「子供が入ったら死んじゃうって言っただろうが!」
え~
お父さん
それはちょっと大袈裟じゃないかな
「おまえは死にたいのか!」
いやいやいや
まって、まって、まって!
そんなに?
そこまで?
「サウナは危ない場所なんだ! 子供は死ぬんだ!」
……だとしたらサウナって危険過ぎやしませんか?
日本中のスパからサウナを排除したほうが良くないですか?
というか、いくらなんでも怒りすぎでしょ?
お兄ちゃん、お風呂の洗い場で、棒立ちで、
ちょっとかわいそうなんですけど……
「おまえはいつも落ち着きがなくて――」
あぁ、オレもそういう子供だったなぁ
まぁ、今でも落ち着きが無いけど
「フラフラと勝手に動き回って――」
あぁ、もう、まさしくそうでした
ジッとしてることができない子供でしたわ
「いいか? 死にたくなければサウナに入るんじゃない!」
うっひょ~!
厳しいな、おとうさん
*
僕の父・隆夫さんは素行が悪かった。
だからだろうか?
子供の教育に熱心ではなかった。
いや、そうなんだけど
そうなんだけど、今思い返してみたら、いろんな人生勉強をさせてくれた。
幼い息子を馬券のノミ屋に連れていき
(ノミ屋がわからない方は調べてね)
幼い息子を雀荘に連れて行って麻雀牌を磨かせ
「フリーの雀荘で打つときは、右手で打て。サウスポーはイカサマをやってると思われるから警戒される」
と教えてくれ
そこそこ大きくなった息子に
「今日は表看板の68番台の釘が甘いぞ」
とパチンコ屋でささやき
一度、家族で温泉に行ったとき
「ええ、ええ。オレは風呂もサウナもいらん、いらん」
と、風呂を拒否し
「いやいや、せっかく温泉に来たのにもったいなさ過ぎる」
と言った息子に
「だったら、オマエが好きなだけ入ってオレの分の元を取れ」
と言い放った。
*
子育ての方法は人によって違うだろう。
子供のいない僕には正解はわからないし、語る資格も無いと思うが……
それでも、「サウナに入ったら死ぬんだよ!」という父親でなくて良かった気がする。
ま、逆に言えば、
子供が行ってはいけないところに連れて行きすぎだとは思うが。
お父さん、いろいろ勉強させてくれてありがとう。
では、また。