ども、舞台監督になれなかった岡田達也です。
『世襲戦隊カゾクマンⅡ』
昨日は札幌で「演劇鑑賞会」ステージ。
800人の会員さんに囲まれて、
とんでもなく大きなリアクションをいただいて、
「キャー!」という悲鳴まで頂戴して、
大いに盛り上がった。
相変わらず札幌演鑑さんの演劇熱の高さには頭が下がる。
今日も札幌で「変態・白ガクト」として生きてこよう。
女楽屋から見た男楽屋。
* * *
「舞台監督」という仕事がある。
(この世界では「舞監さん」と呼ばれてます)
舞台は、舞台監督さんがいなければ成立しない。
役者が一人くらいいなくなってもなんとかなるが
(えっ?そうなのか?)
舞監さんがいなければ、仕込みも、バラシも、そして何より本番ができない。
それくらい必要不可欠なポジションである。
僕にとっては“何でもできるスーパーマン”のような人なのだ。
*
『世襲戦隊カゾクマン』
前作に引き続き、金安凌平さん(新潟出身の元ヤン。元ヤンとは思えないほど温厚。←いらない情報でしたね)という方が舞台監督を務めている。
その金安さん、仕事の都合で九州公演に行けないらしく、ピンチヒッターを探したところ、キャラメルボックスの舞台監督である村岡晋さん(山口出身のソバージュヘア。ガンジーに負けないくらい温厚。←いらない情報でしたね)が見つかった。
で、晋さん、引き継ぎのために札幌まで出向いて、昨日の仕込みから参加している。
本番が終わったあと、金安さんと晋さんとで飲んだ。
晋さんが言った。
「たっちゃん、オレは驚いたよ!この芝居の金安さんの仕事量、尋常じゃない!普通は一人でできないよ!っていうか一人でやったらダメなやつだ!」
僕もこの世界は長い。
薄々感づいてはいた。
「ですよね。袖から見てても、すごい仕事されてますもん」
晋さんが苦笑いしながら言った。
「オレ、九州でできるかな~」
金安さんが言った。
「晋さんならできます。それに……」
僕は聞き返した。
「それに?」
「晋さんなら、万が一失敗しても「あの晋さんが失敗したんだから、それだけ難しい仕事ってことなんだろう」ってみんな納得しますよ(笑)」
具体的な仕事の内容を書いてないので想像しにくいかもしれないけど、間違いなく体を張った仕事をされている。
力仕事から、頭脳労働まで、あらゆる作業を。
僕は感心して言った。
「本当に、舞監さんは何でもできるんですね」
金安さんが照れ臭そうに言った。
「そういえば、出演もしたことありますよ」
「ええっ?」
「田村さん(今回の作・演出)の芝居ですけど。ラストシーンだけ出てほしいって言われて。もちろんセリフはありませんでしたが」
「へ~」
「高橋恵子さんの相手役で、二人で見つめ合いながら暗転していく、みたいな」
「……めちゃめちゃ重要なところじゃないですか。普通の俳優でも緊張しますよ」
「そいえば、こんなこともありました」
「まだあるんですか?」
「ええ。マジシャン役で登場して、ステッキから花を出して、最終的に鳩を出してほしいと言われて……」
「……はっ?」
「えぇ」
「……それは舞監さんの仕事ではないですよね?」
「まぁ、いろいろありまして。で、本物のマジシャンと鳩は、劇場側が用意してくださることになって。あとは習えば良いはずだったんですけど」
「どうしました?」
「それが……、手違いで用意されてなくて」
「ええっ!どうされたんですか?」
「仕方がないから、僕が手品ショップに行ってステッキを購入して」
「はっ?」
「白い鳩を買いに行きました」
「えええええぇぇぇぇぇっっっっっ!!!!!」
「はい」
「買ったんですか???」
「買いましたね。それで、旅公演もあったんですけど、鳩はトラックに乗せられないんですよ。だから移動もずっと僕が手持ちで」
「……大変すぎません?」
「まぁ、それはそれで良かったんですけど。問題は終わった後でして」
「というと?」
「その鳩の引き取り手が見つからなくて……」
「あぁ、そうですよね。どこかの鳩舎にあげるとかできないんですか?」
「それができなくて」
「……え? じゃあ、どうしたんですか?」
「今、我が家で飼ってます」
「えええええぇぇぇぇぇっっっっっ!!!!!」
「(笑)」
「買った上に、飼ったんですか?」
「そういうことになりますね(笑)」
*
もしも、この日記を読んでいる若者で、将来は舞台スタッフとして生きたいと考えてるあなた。
舞台監督とは“何でもできるスーパーマン”になれなければ無理なのです。
鳩を買って、舞台上で出して、その後飼うくらいの無茶ができなければ、それくらいの覚悟がなければ務まりません。
そのことを覚えておいてください。
昨日、一番笑った話。
では、また。