ども、岡田達也です。
日常で「震える」ことはなかなか無い。
例えば僕の場合……
・寒くて震える
『裏切り御免!』という芝居のチラシ撮影で、真冬に上越の雪山まで行き、坂本龍馬の格好で撮影したときは震えた。
着物の中に仕込んだいくつものホカロンも役には立たなかった。
文字通りガタガタ震えていた。
しかし、そんなことは滅多にない。
・感動して震える
例えば芝居の場合。
忘れられないのは25年ほど前、『カクスコ』という劇団の芝居を初めて観たとき、劇中にいきなり始まったアカペラがあまりにもステキで、客席で震えたことがある。
しかし、そんなことは滅多にない。
・悲しくて震える
中学2年生のとき、大好きだったおばあちゃんが亡くなった。
夕方まで元気だったおばあちゃんが、夜になって突然体調を崩し、一緒に救急車に乗り込んで病院に行ったのだが、そのまま息を引き取った。
病院のロビーで震えながら泣いた。
しかし、そんなことは滅多にない。
・恐ろしくて震える
キャラメルボックスに入団して最初の3年は「新人練習」なる特訓が行われる。
昔の新人練習は空恐ろしいものだった。
タイガーマスクの「虎の穴」が現実世界に再現されていると想像してもらいたい。
明日が来るのが怖くて毎晩布団の中で震えていた。
しかし、そんなことは滅多にない。
・身の危険を感じて震える
上川隆也先輩が……
このように、日常で震えることなど滅多にないのでは?と思っている。
……僕だけだろうか?
*
キャラメルボックスの後輩に石森美咲という子がいる。
彼女のご両親が僕と同い年らしいので、言ってみれば娘みたいな年齢ということになる。
その彼女が昨日、『世襲戦隊カゾクマンⅡ』を観に来てくれた。
観に来てくれた。
それは、とてもありがたいし、とても嬉しい。
が、終演後に面会したとき、彼女の発言に若干の引っ掛かかりを覚えた。
まず僕の顔を見た瞬間
「ウッへへへへへ(笑)」
と笑った。
先輩の顔を見て、言葉も発せず、そんなふうに笑う後輩がいるだろうか?
「達也さん!ウッへへ(笑)」
何?
「私、達也さんで5回、震えました!ウッへへ(笑)」
5回?
「はい、まず登場した瞬間から震えました!ウッへへ(笑)」
長い登場シーンだもんな
「すごいですね!ウッへへ(笑)」
……
「母乳!ウッへへ(笑)」
あれ、台本だからな
「キス!ウッへへ(笑)」
あれも台本だし
「とにかく震えが止まりませんでした!ウッへへへへへ(笑)」
そう言いながら、彼女は劇中の僕を思い出したらしく、自分で自分の体をさすりながら、目の前で震えてみせた。
そして最後に発した言葉が
「イヤ~~~~~!!!」
だった。
親ほど年齢が離れた先輩に対する感想がそれか?
*
あなたは日常で震えることがありますか?
もしも震えたくなったら赤坂レッドシアターにお越しください。
寒さでもなく
感動でもなく
悲しみでもなく
恐怖でもなく
命の危険でもなく
違うもので震えさせますよ。
では、また。