ども、侍こと岡田達也です。
『スロウハイツの神様』を観に行ったとき、成井さんから大量の写真を渡された。
昔、キャラメルボックスで撮影されたスナップやら、公式のものやら、マル秘写真やら。
笑ってしまうほど大量に。
そう、紙焼きの時代だからずっしりと。
久しぶりにアルバムを買わなきゃ。
*
そんな懐かしい写真の中から思い出したエピソードを一つ。
1998年3月に上演された
『俺たちは志士じゃない』(再演)
このフライヤーの被写体は僕と、OBの今井義博氏。
撮影されたのは1997年11月。
つまり前年の冬。
もう少し具体的に言えば、クリスマスツアー『サンタクロースが歌ってくれた』の神戸公演の休演日に行われた。
撮影場所は新神戸から北に上り、谷上を超え、大塚山の方だった。
ご覧のとおり、屋外で、草むらの中での撮影。
当然、スタンバイはホテルで行われた。
そこですっかり準備を整えて、車で移動し、撮影をする予定だった。
朝早くから起きてメイクし、着物を着て、カツラを被る。
見た目の準備は万端だ。
が。
心の準備はイマイチできていなかった。
僕は、このお芝居のとき、初めてフライヤーに登用されたのだが……
それが苦痛で苦痛で仕方なかった。
簡単にってしまえば「責任を負いたくなかった」のだ。
“劇団のチラシに載る”ということは“劇団の顔”として、宣伝材料に値するものでなければならない。
自分にその価値が無いことは重々承知していたし、でもお鉢が回ってきたのだから、グダグダ言ってないでやらなければならない。
「チラシに載った!やった~!」という人もいる。
それはそれで良いことだ。
そのやる気たるや大いに結構。
でも、当時の自分はとてもじゃないけどそこまでポジティブには考えられなかった。
はぁぁ~
なんだかなぁ
そんなこんなで、グズグズした心持ちでいたのを覚えている。
ロビーに移動した。
神戸は観光の街だ。
異人館のある街だ。
外国人観光客も多い。
フロントで話している二人組の外国人がいた。
金髪で、やや大きめの、青い目をしたおじさんが僕に気付いた。
「ワオ!」
ん?
何がワオだ?
おじさんは大仰に、僕を指差して言った。
「ジャパニーズサムライ!」
オレ?
あ、そうか
今、オレ、侍か
おじさんはもう一度言った。
「ジャパニーズサムライ!」
お連れさんが言った。
「アンビリーバボー!」
おじさんは刀を構える真似をした。
「シュッシュ!」
その擬音が何の音かは理解できなかったが。
でも、二人とも驚いた表情でニコニコと見てくれた。
すごく照れくさくもあったのだけど、なんだか嬉しかった。
僕は言った。
「アイム ジャパニーズサムライ!」
二人は笑顔で親指を立ててくれた。
僕はすごく気分が軽くなって車に乗り込んだ。
*
完成したフライヤーがこちら。
今だから白状する。
あぁ!
ちゃんと顔がボカしてあるじゃないか!
そう思って胸をなでおろしたのは本当のこと。
では、また。