ども、笑いを堪えるのに必死な岡田達也です。
『世襲戦隊カゾクマンⅡ』
笑いながら稽古が進んでいる。
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タイトルを見ればわかる通り“バリバリの戦隊ヒーローもの”である。
だが、それと同時に“橋田壽賀子さんなみに家族もの”でもある。
「え? 何それ? キレンジャーが『幸楽』でカレー食べるみたいなこと? 幸楽って中華でしょ? カレー出してたっけ? それともキレンジャーが『幸楽』でラーメン作るお話? ってことは、えなりくんがミドレンジャーになるの? まさかのピン子さんがモモレンジャー? それは少し見てみたいかも……」
そんな混乱を招くかもしれない。
(絶対にない。大丈夫だ)
しかし、この“一見すると相反するテーマ”を作・演出の田村孝裕氏(ONEOR8)が見事にミックスさせている。
そして、
大いにバカバカしく演出している。
『ONEOR8』を観たことある方ならわかるだろうけど、普段の田村くんはシリアスなテイストの作品が多い。
どちらかと言えば、観ていて胸が痛むような、思わず涙が少しだけ溢れてしまうような、そんな作風だ。
その田村くんが「戦隊もので、家族もので、コメディを」というプロデューサーの無茶振りを断りきれず、力づくで寄り切られて書くことになったらしい。
そのリクエストに応えて、ということなんだろう。
稽古中に思いつく大いにバカバカしい演出を役者に要求する。
それが、本当に、面白い。
ときに面白すぎる。
結果、
演じてる役者にはとてもキツい状況になる。
本人たちは極めてシリアスに演じてなければならないのに、耐えられなくて吹いてしまうのだ。
あれ、不思議なもので
「ガマンしなければ、ガマンしなければ」
と思えば思うほど可笑しさというのは込み上げてくる。
役者はそれを押さえ込むのに必死になって戦ってるのに、演出の田村くんはゲラゲラと遠慮なく笑っていて、それがまた苦しみを誘う。
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『東京乾電池』さんは稽古場で、どんな面白い芝居だろうが、見ている者は絶対に笑ってはいけないそうだ。
実際、綾田俊樹さんに演出されたときはそうだった。
それは「笑い声によって芝居がブレてしまうことを防ぐため」らしい。
その理屈もわかる。
それほど笑い声というのは影響力があるし、役者の中には笑い声を聞くことによって色気を出してしまう人もいるだろうから。
だからそのやり方も一つだと思う。
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今の稽古場は演出家が率先して笑っている。
ハマったときは「何もそこまで」と言いたくなるほど笑っている。
役者が迷惑なほど笑っている。
東京乾電池さんの稽古場なら罰金ものだろう。
でも、これはこれで幸せだ。
どちらのやり方が正しいというわけではない。
過程はどうあれ、結果、観てる客さんが笑ってもらえるものになればそれでいいだけだから。
たくさん笑ってもらえるといいな。
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キャラメルボックスでお世話になっている武田さんに、いろいろ知恵をお借りしました。
ありがとう、武ちゃん!
では、また。