ども、ボクサーにだけはなりたくない岡田達也です。
先日、父親の隆夫さんがインフルエンザにかかったという話を書いた。
高齢でのインフルエンザというのは体への負担が大きいらしく、父親もしばらくは安静にしていた方が良いということで入院していた。
隆夫さんは僕に似て食い意地がはっている。
……間違えた。
僕が隆夫さんに似てるんだ。
「病院食は敵」だと思っているらしい。
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隆夫さんは昭和10年生まれながら身長171㎝と、当時の人にしては長身だ。
若い頃は体重が55kg、筋骨隆々で、全身が彫刻みたいな体をしていた。
僕は子供の頃、その筋肉を触らせてもらっては「すごい、すごい!カッチカチ!」と喜んでいたものだ。
だが。
今は違う。
今は体重が75kg、筋肉はどこにも見当たらず、その代わり立派な脂肪がたくさん付いている。
まぁ、80歳を超えたのだから当たり前だろう。
筋骨隆々な80歳というのもちょっとこわい。
母親の秀子さんに「歩きなさい、動きなさい、肉を削りなさい」と毎日言われていた。
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インフルエンザ効果(?)とでも言おうか。
高熱で体力が落ちたため、まずは食欲が無くなったらしい。
アイスやプリンなら食べられるが、お腹が減らないのでご飯に手が伸びない。
みるみるうちに体重が落ちたそうだ。
そして……
徐々に体力も回復してきたのだが、病院の食事には興味がわかない。
戦争を経験してる大人たちは「食べ物はあるだけでありがたい」という考えの人がほとんどだと聞いていたが、ウチの父親は違う。
「これはいけん」「たべるもんがない」などと、罰当たりな発言を平気で繰り返す人だ。
病院食を敵視している。
結果、一週間ほど入院し、
退院したとき、69kgまで痩せたらしい。
秀子さんは万々歳だった。
「お父さんの体重が5kgちょっと減ったのよ!やったわ!これをキープしてもらわないと!」
この場合の減量を喜ぶのもどうかと思う。
が、秀子さんは手を叩かんばかりに大喜びだった。
一方……
隆夫さんは違う考えのようだ。
「体重が5kgほど落ちてな。お母さんは喜んどるけど、はよ(早く)戻さないけんと思ってな。病院のご飯はあっさりばっかりだったけな。こってりしたもん食べないけんで」
いい。
戻さなくていい。
無理してこってりしたものを食べる必要はどこにもない。
僕は言った。
「いや、無理して太らんでもええが。今の体重をキープでいいんじゃないの?」
隆夫さんが拗ねたらしい。
「そんなお母さんみたいなこと言うなよ。切るで」
電話は切られた。
*
無事に退院してくれたのは良かったのだが、今後の展開が気になる。
隆夫選手は再び5kg増量に成功するのだろうか?
秀子トレーナーは今の体重をキープさせるのだろうか?
注目してようと思う。
では、また。