ども、本番直前の岡田達也です。
限りなく独り言です。
*
『スキップ』
通し稽古の4回目。
おやまぁ、と驚く。
あくまでも、あくまでも、僕の超個人的な視点から見てだけど……
昨日、グッと芝居が面白くなった。
一昨日までとは明らかに違う。
(付け加えるならおまえ以外はな)
これが演劇の不思議なところで。
やってることはそれまでと同じセリフ、同じ動作、なのに。
それなのに別物に見えたりする。
「稽古」というのはそうなるためにやっているのだから、当たり前といえば当たり前のことなんだけど。
それでもやっぱり“変化の瞬間”を目の当たりにすると感動する。
*
先日、後輩の多田直人がツイッターで面白いことをつぶやいていた。
「演劇の稽古ってだいたい4〜5週間あるんだけど、半分の2.5週間になれば、世の中はもっと演劇で溢れて生活に根付きそうだし、淘汰されるし、演劇人の貧困も少しは解消されるような気がするんだけど、これって暴論なのかなぁ。」
面白いなぁ
確かにそういう考え方もあるよなぁ
そう思った。
このつぶやきに賛成や反対を唱えたいわけじゃない。
「芝居の稽古の適正な期間ってどれくらいなんだろう?」と考える。
*
先程も書いたが、昨日、稽古4週間目にして芝居が面白くなった。
(あくまでも岡田達也の独断です)
逆に言えば、ここに到達しなければお金は取れないな、と思う。
で、だ。
乱暴なことを承知で言えば……
「繰り返し稽古すれば面白くなる」という前提ならば、4週間と言わず半年でも1年でも稽古すれば、「とんでもなく面白い作品に仕上がる」という理論が成立する。
でも。
現実的にそれは無理だ。
1年間稽古だけなんて、金銭的にも無理だし、そもそも飽きる人だってたくさんいるだろう。
飽きっぽい多田直人なんかは発狂してしまうかもしれない。
それに……
365日稽古して、本当に面白くなり続けるのだろうか?
いや。
僕は経験したことないが、そうはならない
……と想像する。
*
恩田陸さんと『猫と針』という芝居を作ったとき、彼女がしみじみと言った。
「演劇って怖いですね。だってチケットが発売されたとき、脚本はまだ完成してなかったんですよ。タイトルと、出演者しか決まってないのにチケットが売れていく。それを本番までに作らなきゃいけないんですから。一ヶ月でできるのかしら?って不安になりました。私たちの世界は完成したものだけが売られるでしょ?だから安心です(笑)」
*
芝居という特殊な世界。
このややこしくて面倒くさいヤツは
(あくまでも作ってるときは、という意味です)
どれだけの時間をかけてやれば、熟してくれるんだろう?
お客さんからお金が取れるようになるんだろう?
上手い俳優と上手い演出家がいれば、あっという間に仕上がるのだろうか?
多田直人のせいで、最近そんなことを考える。
さて。
泣いても笑っても今日が最後の稽古。
より熟しますように。
では、また。