ども、犬も猫も大好きだけどどちらかと言われれば犬派の岡田達也です。

 

 

 

『スキップ』

いよいよ今日から通し稽古。

本当に追い込みだ。

 

そして、昨日、販売用Tシャツのデザインも上がってきた。

初日が近付いてる感じがする。

 

問題は“深川麻衣画伯がTシャツに描いたイラスト”だ。

 

 *

 

二週間ほど前、稽古中に「ディベート」というエクササイズをやった。

一対二で向かい合い、一人の方が自分の好きなものを話して、残りの二人も好きなるように説得する。

二人の方はそれが「嫌い」という前提で、好きだと力説している人間を嫌いになるように説得する、というもの。

 

これ、かなりハードに喋らなければいけない。

大きな声で、マシンガンのようにしゃべり続けるからけっこう疲れる。

一人側に座った人間は、自分が「本当に好きだ」と思えるものをセレクトする必要がある。

「ちょっと好き」くらいではダメで、「とても好き」なものでなければしゃべり続けることができないから。

 

まいまいは好きなものとして「犬」を選んでいた。

「犬は可愛い」

「犬は癒される」

などを、力いっぱい語っていた記憶がある。

 

相手の二人は「犬じゃなくて猫の方がいい!」という反撃に出る。

「犬は散歩に連れて行かなきゃいけない」とか「犬は人を噛む」とか言いながら「だったら猫の方がいい」というような説得を始める。

 

でも、まいまいは「猫じゃダメ!犬のほうが癒される!」と、声を大にして言っていた。

とにかく相手の言葉を突っぱねて「犬!」と連呼していた。

……はずだ。

 

 *

 

Tシャツのデザインを見た関根翔太が声をかけてきた。

「達也さん、達也さん!これ、見てください!」

「ん?どした?」

「このイラスト、麻衣ちゃんが描いたらしんですけど……」

「おや?こ、これは……、猫じゃないか?」

「そうなんですよ!あれだけ犬、犬って言ってたのに!」

「そうだよな。猫じゃなくて犬って言ってたよな?」

「そうですよ!」

「いや。そもそも『スキップ』のTシャツに、なんで猫のイラストなんだ?猫、この芝居に関係ないだろ?」

「なんででしょう?」

何もかもが理解不能だった。

 

と、そこへ画伯が通りかかった。

 

「まいまい、ちょっと訊いていい?」

「なんですか?」

「なんで猫なの?」

「えっ?」

「私は犬が好きって言ってたよね?」

「いや、でも、猫、かわいくないですか?」

「……いや、猫もかわいいよ」

「でしょ?」

「……でもさ、そもそも、このTシャツに猫って必要か?もっと違うものもあったんじゃないか?」

「例えば何ですか?」

「ん~、この季節なら桜の花びらとか」

「あ~、なるほど」

「でしょ?」

「私もね、砂時計とか考えたんですよ!」

「お!いいじゃん、砂時計!この芝居にも合ってるよ!」

「でもね、ここに砂時計が描いてあってもなんだかなぁ、って思ったんです」

「……いや、だからって、どうして猫になるんだ?」

「ん~、なんででしょ?」

「こっちが訊いてるんだよ!」

「見てください!これ、猫がスキップしてるんですよ!」

「……は?」

 

見てみると、確かに猫がスキップしていた。

 

 *

 

数日前、深川麻衣ちゃんはちゃんとしていて突っ込みどころが少ないと書いた。

前言撤回しよう。

彼女はちゃんとしているが、じゅうぶん面白い。

逆に、突っ込みどころが多そうだ。

こういう“油田”を見つけると、僕は掘りたくなる悪い癖がある。

 

なぜ砂時計が猫になったのか?

なぜ犬ではなく猫なのか?

“猫がスキップしている”というダジャレがどこから湧いてきたのか?

それを描こうという勇気はどこから湧いてきたのか?

掘りたいことは山のように残ってる。

 

石油が出たら報告します。

 

 *

 

Tシャツ、お楽しみに。

 

 

 

では、また。