ども、目が回る乗り物は苦手な岡田達也です。

 

 

 

『スキップ』

いよいよ稽古最終週。

競馬で言えば4コーナーをまわった所。

泣いても笑ってもこれが最後の直線。

鞭の入れ合い、叩き合い。

きっちりと差し切りたい。

(……なぜ競馬に例えた?鞭で叩かれるのはゴメンだし、差し切る必要もないぞ。団体戦なんだから)

 

さておき、本当に追い込みなんだと実感している。

今、僕は冷や汗をかいている。

今朝「初日間近になると必ず見てしまう系の夢」を見た。

見てしまった。

生きた心地がしない。

 

 *

 

今日から稽古場が変わる。

これは本番同様のセットを組み立てるためで、大きめの稽古場に移るのだ。

とてもありがたい。

 

『スキップ』の舞台は、センターに大きな盆を置くことで構成されている。

「盆」というのは「回り舞台」のことで、自動なり手動で回転できるようになっているものを指す。

 

だからあんな夢を見たのだろうか?

 

 *

 

稽古をしていて、突然、セリフが飛んだ。

(飛ぶ → 忘れてしまうこと)

舞台俳優にとってこれ以上の恐怖はない。

 

僕は稽古場でアワアワし始めた。

しかし……

アワアワしようが、ブルブルしようが、出ないものは出ないのだ。

何もわからない。

何も出てこない。

アドリブで切り抜けようかと思ったが、自分の前にセリフをしゃべってる人の言ってることがまったく理解できない。

理解不能なことばかりをしゃべるのだから、切り返しようがない。

僕は舞台に立ち尽くした。

 

その芝居がどうなったのかは覚えていない。

が、夢は勝手に先に進む。

夢とはそういうものだ。

次の場面では営業が終わった遊園地に来ていた。

 

僕に与えられた罰は

「回転しているメリーゴーランドに“捕まって”、自分のセリフをすべて言い切る」

というものだった。

 

メリーゴーランドの馬に乗るのではない。

あの、上下している棒に、自分の体を、地面と平行にして、捕まるのだ。

つまり「鉄棒にぶら下がった状態を、そのまま90度横向きに倒した状態」ということだ。

 

……無理だろ

……一秒も支えられないわ

 

どんな腕力と、どれだけの体幹があればそんなことが可能なんだ?

内村航平選手でもできないだろ?

 

僕は、やる前から無理だとわかる罰をもらって、真夜中の遊園地に立ち尽くした。

 

 *

 

はぁはぁはぁ

お、おそろしい

 

こいつは間違いなく本番が近付いてる証拠だ。

身体的には振り回されなかったが、精神的には振り回されっぱなしな夜になってしまった。

これはひょっとして「盆」効果だろうか?

 

 *

 

さて。

セットと仲良くなろう。

身体に馴染ませよう。

 

舞台は敵じゃない。

自分の遊び場だって頭に体に覚えさせるのだ。

 

今日もセリフを忘れませんように。

 

 

 

では、また。