ども、おめでとう続きの岡田達也です。

 

 

 

女の子に

「今日は何の日?」

と尋ねられたら要注意だ。

 

さぁ、急いで考え始めよう。

キミの頭をフル回転させよう。

これは間違いなく地雷と一緒で、うかつに答えてはイケナイ。

 

僕は物覚えが悪いので、この手の質問は大の苦手だ。

もちろん、大抵の地雷を踏んで木っ端微塵に散ってきた。

 

僕は「マメさ」の欠片も持ち合わせてない。

 

 *

 

そんな僕だが、両親と兄貴の誕生日だけはかろうじて記憶している。

 

 *

 

昨日、秀子さん(母親)に電話した。

 

「もしもし」

 

「あら!久しぶり!何?」

 

「今日、荷物がそっちに届くから受け取って」

 

「荷物?」

 

「うん。誕生日プレゼント」

 

「え?誰の?」

 

「……」

 

僕にマメさはない。

だが、少なくとも、自分の誕生日くらいは記憶している。

 

「お母さんの誕生日なんだけど。お忘れになった?」

 

「あっ!アハハハ!そうか、そうだった!」

 

「思い出した?」

 

「うんうん!私だ!私の誕生日だ!なんか、そんなことすっかり忘れて暮らしてた(笑)」

 

「それくらいで良いかもね」

 

「で、何を送ってくれたの?」

 

「……」

 

訊くか?

そこで訊くのか?

開ける楽しみとか必要ないのか?

 

「レッグウォーマー。ダウンでできてるから温かいと思うよ」

 

「いいっ!いいわよ!それが一番いい!」

 

「……だから、それを送ったんだって」

 

「私ね、昔から脚が冷えてねーー」

 

「知ってる。百万回聞いた。だから選んだ」

 

「本当に!とてもいい!それが何よりだわ!」

 

「……だから、それを送ったんだって」

 

「私ね、末端冷え性っていうのかな」

 

「知ってる。百万回聞いた。だから選んだ」

 

「何ていうのかな?こう、指先が冷たくてね」

 

「……」

 

 *

 

仕事や家事に関しては驚くほどマメな人なのに

自分の誕生日なんかにはトンと無頓着

とても秀子さんらしいなぁ

 

そんなことを思いながら、「私の足は冷たいのよ」というループする話を延々聞いていた。

 

お母さん、お誕生日おめでとう。

 

 * * *

 

 

恩田陸さん、直木賞受賞おめでとうございます。

 

あのとき、新宿であなたが語ってくれた「直木賞論」、忘れませんよ。

もちろん死ぬまで秘密にしておきますから。

 

 

 

では、また。