ども、ダメなことには自信がある岡田達也です。

 

 

 

大内厚雄が出演している

yataPro『世界を繋ぐ方法』

http://yatapro.net/

を観劇してきた。

キャラメルボックスOBの近江谷太朗先輩が50歳を過ぎて再びやる気スイッチを点火させ、10年振りとなるプロデュース公演。

高橋由美子ちゃんと大人なラブストーリーの三人芝居だった。

 

 *

 

終演後。

演出家の笹峯愛さんたちと飲みに行ったときのこと。

近江谷先輩が稽古で苦労してたという話を聞いた。

どうやら役作りで苦しんだらしい。

 

「もうね、稽古場で愛ちゃんにも大内にも由美子ちゃんにも迷惑ばかりかけてね」

「そうだったんですか?」

「最年長でプロデューサーなのにね。俺だけが全然できなくて。愛ちゃんにダメ出しされっぱなしで」

「(笑)」

「俺なんかウンコですよウンコ」

「(爆笑)」

 

それでも、この人はただでは起きない。

 

「でもね、この年齢になって、ちゃんとダメ出ししてもらえるってのは有り難いんだよね」

「同感です」

「それこそテレビの現場なんか「ベテランさんなんだからパッパってできますよね?」みたいな扱いだし」

「なるほど」

「やっぱり舞台はしっかりダメ出しがあるのが良い」

「でも、一人だけ多いから苦しんでたんでしょ?」

「それはそう(笑)」

 

ここで僕が日頃思っていることを言ってみた。

「あの~『ダメ出し』って言葉が良くないですよね」

 

 *

 

そうなのだ。

芝居を作るには絶対に演出家の言葉が必要であって、指針が無ければ役者が進むべき道は見えてこない。

しかし。

演出家から役者に投げかけられる言葉がすべて「ダメ出し」という名になってしまうのなら、それを受け取る側は辛すぎる。

だって、すでにダメなことが前提になってるし。

「ダメを出される」なんて、できることなら避けたいと思うのが人情だ。

僕なんか、ただでさえ人生のダメ出しをいろんな人から頂戴してきた。

もうお腹いっぱいだ。

正直、この歳になってこれ以上怒られたくない。

……あ、これは違う話だった。

「オマエはダメだ!」と言われたくないくせに、俳優としての注文は受けたい

……というジレンマ。

 

実際、僕が客演した先では違う言葉を使っている劇団もあった。

「ダメ出しします」の代わりが

「チェックします」

「確認します」

というところもあった。

僕は知らないが「オーダー」という言葉を使うところもあるらしい。

なるほど、演出家からの注文なわけだから「オーダー」というのも有りだ。

 

 *

 

ダメ出しが多いと凹むのも本当

ダメ出しが無いと不安になるのも本当

 

……ってことは言葉の問題じゃないのかな?

俳優のワガママな気質が問題ってことか。

 

 *

 

笹峯さんにどんなダメ出しをしたのか訊いてみた。

「ちょいちょいカッコイイ近江谷太朗が顔を出すんですよ。だから「今回、それはいりません!」って(笑)」

「あーだこーだ言ってくるので「ごちゃごちゃ言ってないで早くやってください!」とか(笑)」

 

そんな「ダメ出し」をもらった近江谷さんがどんな芝居をしているのか?

興味のある方は是非。

心優しきダメな男をしっかり演じてましたよ。

 

 

 

では、また。