ども、メニューに銀杏があると頼んでしまう岡田達也です。
母親の作ってくれる銀杏入りの茶碗蒸しが食べたい。
それから
雰囲気の良い銀杏並木を歩きたい。
それから
大銀杏を結って土俵入りしたい。
そんな季節だ。
……白鵬でも倒す気か?
芝居の稽古しろよ。
* * *
わかりにくい話で申し訳ないが……
舞台というのは尺貫法が用いられている。
1尺(30,3㎝)
3尺=半間(90,9㎝)
6尺=1間(181,8㎝)
そして稽古場には必ず場ミリ(印)が貼られている。
基本的には
舞台の一番前にラインが引かれ
そのセンターを起点として(そこが0地点)
そこから上手、下手に3尺(90.9㎝)ごとに点が打ってある。
キャラメルボックスはその点に対して0、0,5、1、1.5、2……というふうに番号が書かれている。
これは0,5が半間、1が1間、1,5が一間半となるので、わかりやすいといえばわかりやすい。
だが。
大抵の稽古場はその点に対して0、1、2、3、4……と番号がふってあり、キャラメルボックス方式を他で見かけたことがない。
うちが特殊なのだ。
*
夢を見た。
夢というのはどうしてこうも不条理なんだろう?
どういうわけか僕が「一生やらない!」と宣言している演出家になっていた。
キャラメルボックスの稽古場だった。
稽古場の真ん中にいたのは西村晃さんだった。
そう、二代目水戸光圀公だ。
相手が悪すぎた。
「キミはさっきから0,5に立ってくれとか、1,5に移動してくれと言うが、どうしてこんなに覚えにくい数字を採用しているのかね?」
「……い、いや、けっして僕が決めたわけではないんですけど」
「ここはキミの稽古場なんだろう?」
「いやいや、ここはキャラメルボックスの稽古場で――」
「聞くところによれば、君が自宅を改装してわざわざこの稽古場を作ったというじゃないか?」
「(ええっ!!!!! そんな大胆なことしたの自分?)」
「その姿勢は認めよう」
「(認められちゃったよ)」
「しかし、万人に通用しない、君だけのルールを持ち込んでいいのか?」
「……あのー、お言葉ですが、僕が私財を投げうって作ったのならそれでも良いんじゃないかと――」
「それだよ」
「は?」
「その姿勢がダメなんだ」
「え?」
「キミが演出家として大成しないのは、万人にウケないその思考によるものだ」
「はぁ」
「代わりなさい。私が演出しよう」
*
なんだこれ?
何がどうなってるんだ?
俳優としてならともかく、なんで演出家として追い込まれてるんだ?
しかも演技じゃなくて場ミリが原因って……
多分、稽古も後半に入ってきた証拠なんだろう。
では、また。