ども、無料見積もりの岡田達也です。

 

 

 

『蛙の子は蛙』という言葉がある。

たまに、この言葉の持つ説得力に落ち込んでしまう。

 

 *


父親・隆夫さんから電話があった。

 

着信画面に「岡田隆夫」と表示される。

これが心臓に良くない。

20数年前、電話など滅多にかけてこない父から電話があって、何事かと思ったら「サラ金で首が回らなくなった」という相談だった。

今でこそ年俸3億円と噂されているが(あくまでも噂ね)、当時はキャラメルボックスに入ったばかりで年俸は3万円くらいだった。

(……よく生きてたな)

そんな貧乏俳優にお金の相談してくる父親って……

あれ以来、隆夫さんからの電話はキュッと締め付けられる感覚がある。

(その後はキレイな体になっているのでご心配なく)

 

「来月、自動車保険が満期を迎えるだが」

 

(え?自動車保険?一体、何の話だ?)

 

「この前な、テレビで自動車保険のCMをやっとってな。掛け金が安いだが」

 

(……ひょっとすると息子相手に詐欺を働くつもりか?)

 

「今の保険はお付き合いで入っとるようなもんだけな。その安い保険に切り替えようかと思ってな」

 

「変えればいいじゃない」

 

「でもな、あれ以来、あのCMが流れんようになってな」

 

(そんなバカな……)

 

「なんでだろうなぁ?」

 

「見逃してるだけだよ」

 

「いやぁ、流れとらんで」

 

「見逃してるだけだって」

 

「それでなぁ、安い保険会社、そっちで探してもらえんか?」

 

「え?」

 

「保険といえばやっぱり東京だろう」

 

(……どんな偏見だ?)

 

「東京なら自動車保険のCMも多いんじゃないか?」

 

「いや、まぁ、そうだけど……。別に鳥取でも探せるでしょ?」

 

「めんどうくさいだが」

 

「……」

 

 *

 

僕は重度の面倒くさがりだが、これは隆夫さんの血のせいか。

 

『蛙の子は蛙』

くそぅ、なんて言葉だ。

 

 * * *

 

ここのところ考え事が多い。

生きていくってのは考え事の連続だなぁ、と思う。

グルグルグルグル

頭の中が洗濯機のようだ。

早く脱水して干したい。

 

 

 

では、また。