ども、日常だってこの上なく幸せになりたい岡田達也です。



昨日のつづきを。
質問、もう一度掲載しておきますね。


質問です!
役者をやってきて、この上ない幸せを感じたこと、死ぬほど辛いと感じたこと、そして辛かった時に支えとなった人(物)はなんですか?
将来はプロの演劇の世界に入りたいと思っているのですが、なにかアドバイスなどがあればお願いします。
(kutsuhimo)


辛いと感じたことは昨日書きました。
書きながら涙がチョチョ切れました。

次は幸せを感じたこと、ですよね?

なんでしょうね?
パッと思いつかないというか……
僕は頭が悪いので、言葉にするのが苦手なのですよ。

例えば「カーテンコールの拍手を一度でも経験してしまうと舞台はやめられない!」という人がいます。
誤解なきように言っておきますが、あの拍手は素晴らしいものです。
それは間違いありません。
ですが「この上ない幸せ」とはまた別物のように感じます。

 *

もしも。
何も伝わらなかったらごめんなさい。

僕が出演した作品で忘れられない初日が3つあります。

1999年 『TRUTH』
2000年 『また逢おうと竜馬は言った』
2002年 『銀河旋律』

これらに共通するのは、初日を迎える時点で
怖くて、怖くて、恐くて、恐くて、仕方がなかった
……ということ。
(まぁ、いつだって初日は怖いんですけどね)

単純に言えば、分不相応な役を与えられて、それに応えられる自信が無かったんでしょうね。
逃げ出したかったです。
国内では追いつかれそうだから、海外に逃亡したかったです。
ついでにハワイでのんびりしたかったです。
(宝くじさえ当たっていればなぁ)

そんな状態だったんだけど。
いざ幕が開いたら、驚くような客席の反応でした。
こちらの想像を軽く超えている、とんでもない熱量。

もしかすると
“お客さんのため”ではなく
“恐怖から逃れるために“という姿勢で、
とにかくブリンカーを下ろして演じるしかなかったあれらの作品の初日に、そんな反応。

三作品とも、カーテンコールで舞台上から見えたお客さんの表情は、生涯忘れることはないでしょう。

そのとき僕は思ったのです。
「あぁ、やっとお客さんに許してもらえたのかも」と。

なんだそれ?
訳の分からない感想ですよね?
でもね、本気でそう思ったのです。

それは、言い換えれば
「自分がキャラメルボックスの舞台に立っててもいいんだ(許容してもらえたんだ)」
と思えた瞬間だったのです。
それぐらい、お客さんに認知してもらうというのは大変なことなんです。

今でも強烈に、焼き付いているステージたちです。

ひょっとすると、あれもこの上なく幸せな時間だったのかもしれません。

 *

劇場に足を運んでもらえること
カーテンコールで拍手してもらえること
「応援してます」と言ってもらえること
「頑張ってください」と励ましてもらえること
お手紙をいただけること
差し入れをいただけること

どれもこれも幸せなことです。

でも……
ひょっとすると「もっとも幸せ」なことは
次の舞台が決まってること
しゃべるセリフがあること
なのかもしれません。

それがなければ舞台の上に立てないのですから。

 *

kutsuhimoさん、将来はプロになりたいのですか?

アドバイスはいつもと同じです。
「やめておきなさい!」

これが一番適切で、完璧なアドバイスです。

……そうですか。
これだけ言ってもあきらめないのですか?

だったら人間を磨いておきなさい。
いつだって魅力的な人であれるように。
もちろん方法は自分で考えてね。
僕もず~っと探しているところだから。



では、また。



追伸

本日のお昼、キャラメルボックス通算2500ステージを迎えます。

セリフをしゃべりながら歩けなかったド素人がここまで来られたのは
僕を拾ってくれた成井さん、加藤さん
一緒に舞台を作ってくれたメンバー
関わってくださったスタッフさん
そして何より劇場に足を運んでくださったみなさんのおかげです。

本当にありがとうございます。
感謝です。