ども、喉の手術を3回している岡田達也です。
『また逢おうと竜馬は言った』
東京公演の折り返しに差し掛かってきた。
主人公・オカモトを演じる陳内将、三津谷亮の声が、初日に比べずいぶんハスキーになってきた。
二人とも28歳という、体力バリバリの年齢であるにもかかわらず、一日やそこらでは喉が回復しなくなってきてるのだ。
やはり24年も前の作品だとかんじる。
今のキャラメルボックスの作品よりも音圧とスピードが重要で、かかる負荷が大きいのだ。
それは体力も喉力(?)も確実に奪っていく。
*
舞台俳優に必要な条件として
「1声 2顔 3姿」
という言葉がある。
それくらい声は大切な要素だから、みんな喉の調子に関してはデリケートだ。
できることなら常に万全の状態で舞台に立っていたいし、そうなれるように努力している。
でも、それでも、陳ちゃんやみっちゃんのようにハスキーボイスになってしまう。
ただし。
それはけっして悪いことばかりじゃない。
*
昔々、僕の初舞台のとき。
ヘタレな芝居ばかりを繰り返す僕に、岡田さつき嬢が言った。
「あんたもさっさと声を嗄らせばいいのに」
これだけ聞くと酷い言葉にも聞こえるがそうではない。
そのあと彼女はこう続けた。
「今のあんたは自分で出したい音を出しているだけ。そんな頭で考えた音ばかりでしゃべってるようじゃダメ。そんなのちっとも面白くない。だったらさっさと嗄らしてしまって、出したい音が出せなくなったほうが気持ちが動くよ」
そのときは
「えっ!? 出したい音を出すのはダメなのか?演劇とはそういうものではないのか?」
と、サラリーマン上がりの僕はかなりのショックを受けたことを覚えている。
*
その次の作品で僕はしっかりと喉を嗄らし(?)、オマケにポリープまで作って人生初めての手術を受けた。
そこから先、僕の喉は嗄れっぱなしの俳優人生だった。
(誰だ? オマエは人生も枯れてると思った奴は?)
*
今、陳ちゃんも懸命に喉をケアしながら舞台に立っている。
かと言って元気な声がすぐに戻ってくるわけじゃない。
きっと本人は苦しいだろうし、悔しいと思う。
けど、僕の経験上、ここで苦しみながら戦うことは
この『また逢おうと竜馬は言った』というお芝居にとっても
陳内将のこれからの役者人生にとっても
これっぽっちもマイナス要素なんてない。
思い通りにいかないときに
何を選択し
何を捨てて
理想に近づけていくのか?
その経験をするのとしないのとでは、その後の俳優人生に大きな差が生まれるんじゃなかろうか?
……と、おじさんは思う。
* *
喉でお困りの方はいつでも相談に乗りますよ。
(医師免許もってねーだろ?)
なんなら薬もたくさん持ってます。
(どうやって手に入れたんだ?)
みなさんは俳優じゃないんだから、嗄れないほうがいいですもんね。
カラオケのやりすぎ
宴会での盛り上がり過ぎ
井戸端会議でのしゃべりすぎ
などにはご注意を。
では、また。