ども、手配師の岡田達也です。
キャラメルボックスOB、上川隆也先輩には好きなモノがいくつかある。
僕が知ってる限りでも……
小説
マンガ
車
ミリタリー
銃
拳銃
機関銃
宇宙戦艦ヤマト
食い気味に入ってくるツッコミ
(これは好きなモノじゃなくてクセかもしれない)
それと忘れてはいけないのが
飛行機
* * *
僕がキャラメルボックスのオーディションを受け、見事に落ち、
制作部として裏口入団してすぐに『ナツヤスミ語辞典』という公演があった。
入ったばかりの僕もチケット作りから、顧客管理、旅の手配まで何でもやった。
人数が少ないからフル稼働するしかなかったし、
とても良かったのはある程度自由にさせてくれたことだ。
細かいマニュアルもあったが、やれること、やりたいことはドンドンやっていい空気だった。
これはひとえに、加藤社長のどんぶり……
間違えた
懐の深さによるものだった。
関西方面に向かう場合、大抵は新幹線を利用する。
ただ、この時は偶然に飛行機の団体割引き券を見つけてしまった。
若干だけど、飛行機のほうが安い。
加藤さんに相談した。
「いいよ、いいよ!みんなで飛行機で移動なんて、珍しいじゃん!乗ろうよ!」
「良いんですか?」
「それに上川を飛行機に乗せてあげたいし!」
そうなのだ。
上川さんの飛行機好きは劇団内で有名だったが、まだ本物に乗ったことがなかったのだ。
親心というか、興味本位というか、ノリというか
とにかく社長の一声で飛行機移動に決まった。
僕が切符を手配し、当日になった。
本来は、僕が、空港で、みんなに、チケットを配る予定だった。
しかし。
当日、一緒に移動する予定の本田という女子スタッフが集合に遅刻したので、家に連絡してみるとお母さんが電話に出て、間に合うかどうかの瀬戸際だということがわかった。
(当時は携帯電話なんて無かったのでこういう連絡が大変だったのですよ)
加藤社長が言った。
「達也はここに残ってギリギリまで本田を待ってくれ」
「わかりました」
僕は彼女と自分のチケットを抜き取り、それ以外を全部社長に渡してしまった。
渡してから気付いた。
「あぁ!上川さんの座席、窓際にしてくれてるだろうか!?」
初めての飛行機
絶対に窓際に座りたいはずだ
えこひいきになるかもしれないが、上川さんは窓際にしてあげよう
そう思っていた。
だが……
その願いは虚しく、僕と本田が全速力で走って搭乗してみると上川さんは内側の席に座っていた。
オマケに顔色が悪い。
よほど窓際でないことがショックだったのだろう。
僕は危険を察知した。
「や、ヤバイ!チケットを手配したのは僕だ。こ、殺されるかも……」
「いや、待て待て。ここは飛行機だぞ。身体検査も受けてるし銃は持ってないか」
「いや、待て待て。銃はなくとも『ブラック・エンジェルズ』みたいに自転車のスポークでこめかみを貫かれる可能性もあるぞ」
「いや、待て待て。自転車のスポークも機内に持ち込めないんじゃないか?」
僕の緊張感が頂点に達しお漏らししそうになったときだった。
「上川、席変わってあげるよ!」
と窓際に座っていた先輩女優さんが気を利かせてくれた。
それが真柴さんだったか、中村恵子さんだったか、記憶が定かではないのだけど。
……僕は命拾いした。
* *
僕もずいぶん飛行機には乗った。
だけど、このときほど楽しかった飛行機移動はない。
羽田から伊丹まで、
みんなで窓にへばりつくたかやん先輩を見ながらずっと笑っていた。
25年も前の懐かしいお話。
* * *
さて。
羽田に向かいます。
札幌も釧路も雪が降ってるという情報。
ダウンジャケット着て行こうかな。
では、また。
キャラメルボックスOB、上川隆也先輩には好きなモノがいくつかある。
僕が知ってる限りでも……
小説
マンガ
車
ミリタリー
銃
拳銃
機関銃
宇宙戦艦ヤマト
食い気味に入ってくるツッコミ
(これは好きなモノじゃなくてクセかもしれない)
それと忘れてはいけないのが
飛行機
* * *
僕がキャラメルボックスのオーディションを受け、見事に落ち、
制作部として裏口入団してすぐに『ナツヤスミ語辞典』という公演があった。
入ったばかりの僕もチケット作りから、顧客管理、旅の手配まで何でもやった。
人数が少ないからフル稼働するしかなかったし、
とても良かったのはある程度自由にさせてくれたことだ。
細かいマニュアルもあったが、やれること、やりたいことはドンドンやっていい空気だった。
これはひとえに、加藤社長のどんぶり……
間違えた
懐の深さによるものだった。
関西方面に向かう場合、大抵は新幹線を利用する。
ただ、この時は偶然に飛行機の団体割引き券を見つけてしまった。
若干だけど、飛行機のほうが安い。
加藤さんに相談した。
「いいよ、いいよ!みんなで飛行機で移動なんて、珍しいじゃん!乗ろうよ!」
「良いんですか?」
「それに上川を飛行機に乗せてあげたいし!」
そうなのだ。
上川さんの飛行機好きは劇団内で有名だったが、まだ本物に乗ったことがなかったのだ。
親心というか、興味本位というか、ノリというか
とにかく社長の一声で飛行機移動に決まった。
僕が切符を手配し、当日になった。
本来は、僕が、空港で、みんなに、チケットを配る予定だった。
しかし。
当日、一緒に移動する予定の本田という女子スタッフが集合に遅刻したので、家に連絡してみるとお母さんが電話に出て、間に合うかどうかの瀬戸際だということがわかった。
(当時は携帯電話なんて無かったのでこういう連絡が大変だったのですよ)
加藤社長が言った。
「達也はここに残ってギリギリまで本田を待ってくれ」
「わかりました」
僕は彼女と自分のチケットを抜き取り、それ以外を全部社長に渡してしまった。
渡してから気付いた。
「あぁ!上川さんの座席、窓際にしてくれてるだろうか!?」
初めての飛行機
絶対に窓際に座りたいはずだ
えこひいきになるかもしれないが、上川さんは窓際にしてあげよう
そう思っていた。
だが……
その願いは虚しく、僕と本田が全速力で走って搭乗してみると上川さんは内側の席に座っていた。
オマケに顔色が悪い。
よほど窓際でないことがショックだったのだろう。
僕は危険を察知した。
「や、ヤバイ!チケットを手配したのは僕だ。こ、殺されるかも……」
「いや、待て待て。ここは飛行機だぞ。身体検査も受けてるし銃は持ってないか」
「いや、待て待て。銃はなくとも『ブラック・エンジェルズ』みたいに自転車のスポークでこめかみを貫かれる可能性もあるぞ」
「いや、待て待て。自転車のスポークも機内に持ち込めないんじゃないか?」
僕の緊張感が頂点に達しお漏らししそうになったときだった。
「上川、席変わってあげるよ!」
と窓際に座っていた先輩女優さんが気を利かせてくれた。
それが真柴さんだったか、中村恵子さんだったか、記憶が定かではないのだけど。
……僕は命拾いした。
* *
僕もずいぶん飛行機には乗った。
だけど、このときほど楽しかった飛行機移動はない。
羽田から伊丹まで、
みんなで窓にへばりつくたかやん先輩を見ながらずっと笑っていた。
25年も前の懐かしいお話。
* * *
さて。
羽田に向かいます。
札幌も釧路も雪が降ってるという情報。
ダウンジャケット着て行こうかな。
では、また。