ども、日常では役職がなくとも芝居では専務にもなれる岡田達也です。



僕の兄、浩一くんは生まれつき「あー」と「うー」しかしゃべることができない。
立って歩くことはできるけど、いろんな動きがカクカクしていてちょっと変だ。
つまり
知的障害、身体障害の両方を持っている。

僕は物心ついた頃からそんな兄貴を目の当たりにしていたから、
自然と面倒を見るようになっていた。
そりゃそうだ。
面倒を見なければ兄貴は一人で生きていけなのだから。

おそらく3歳児程度の知能だと思われるこうちゃんに接していたおかげで
「障害者に対する接し方」が自然と身に付いていた。
……のだと思う。

 * * *

今、稽古している『幸福の職場』という芝居。
これは『日本理化学工業』という、実在しているチョーク工場をモデルにしている。
障害者雇用を積極的に取り入れながら、国内でのシェアはナンバーワンというすごい会社が歩んできた道のりのお話。

日本理化学工業
「障がい者雇用について」
http://www.rikagaku.co.jp/handicapped/


僕が演じるのはこの会社の専務(現会長)。
従業員の熱意に押されて渋々障害者を雇ってみたものの、上手く働かせることができず苦労する。
どうにも困っているところに、知り合いの住職の言葉からヒントを得て……
という役どころ。

2年前にも演じているが
今回、演出のきたむらくんから
「これは専務の成長の物語でもあるんです」
ということを口を酸っぱくして言われた。

「(舞台の設定が)昭和34年ですから、障害者に対する偏見は今の比ではないと思います」
「だからもっとドライに」
「最初は多少嫌なヤツでいい、そうでなければ最終的に変化する姿にならないんです」

 * * *

お芝居というのは難しい。
もちろん、その時々でのベストは尽くしている。
が、今回のダメ出しをもらって深く反省した。
2年前に演じていたやり方ではダメだったんだ。

つまり
僕は“障害者に対する接し方が身に付いてしまっている”からドライに演じられていなかった。
言い換えれば、障害者に対する「違和感」や「嫌悪感」が足りていなかった。
……のだと思う。
(どうかこの部分だけを捕まえて「差別的発言」と捉えないでくださいね)

きたむらくんも歳を取り、思うことが増えたのかもしれない。
四演目となってどんどん的確なダメ出しが言えるようになってるのかもしれない。

 * * *

今回、もう一度呼んでもらえて本当に良かった。
この作品をもう一歩深く演じる機会が与えてもらえたから。

もちろん2年前だって自信を持って届けていたし、
今DVDを見返しても面白い作品だと思う。

だけど、さらに面白くなってる。
僕の解釈だけではなく、登場人物全員が2年前とは比にならないくらい面白い。
稽古場で見ててそう思うんだから間違いない。


釧路、札幌、旭川、函館でご覧になる予定のみなさん
楽しみにしててください。


惜しむらくは北海道以外でもやりたかったなぁ。
この作品で日本全国を回りたかった。

ん~、大人の事情ってやつは大変だ!

 * * *

稽古場で会ってしまった男。
キャラメルボックスのインドア男優、畑中智行。



こいつも忙しそうだ。
お互いに頑張ろうな。



では、また。