ども、本日のオススメは岡田達也です。



東京ドームで梅酒を売っていたとき。
「オススメはどれですか?」
と、よく尋ねられた。

最初のうちは深く考えないで、売れ筋を勧めて試飲してもらっていた。
それで大抵の人は喜んでくれた。

が。
そんな中、一口飲んだ瞬間に「甘っ!」と叫んで渋い顔をする人がいた。
「こりゃダメだ!私には甘すぎるわ!」と言う。

……そうか、この人には甘すぎるんだ

かと思えば
「あ~、これはさっぱりしてて甘みが少ないね」と真逆の感想を口にする人がいた。
「梅酒なんだからさ。もっと甘いのはないの?」と言う。

……そうか、この人には甘みが足りないんだ

同じ梅酒を飲ませているのに、この反応の違い。

人は勝手なもので
「オススメはどれですか?」
と口にするとき、
そこには“美味しかったり”“面白かったり”など
きっと“自分を満足させてくれるものが提供されるであろう”という
無意識の前提条件で尋ねていることが多い。
(↑岡田達也調べ)

その期待に100%応えることは難しい。
だって“こちら側のオススメ”ならいくらでも出せるけど
“相手を満足させるオススメ”となるとテレパスでもないかぎり無理だ。

「人の好みは違う」

そんな当たり前のことを再確認してからは
「オススメはどれですか?」と訊かれたら
「17種類、全部オススメです!」と答えるようにした。

で、その後に
「何かお好みはありますか?それを教えてもらえれば100点のヤツ、お出ししますよ!」
と付け足すようになった。

 * * *

余談だが。

昔、浅草の鰻屋さんに入ったときのこと。
何か串を頼もうと思った。
だが、鰻など滅多に食べたことがないので何を頼めば良いのかわからない。

お店の大将に声をかけた。
「オススメはありますか?」

すると大将
「自分の食べたいものくらい自分で決めな!」
と一喝したあと、ニヤッと笑った。

 * * *

オススメを尋ねるのは簡単。
オススメを押し付けるのも簡単。

だけど
需要と供給が一致したオススメってのは難しい。

 * * *

欲を言えば……
自分がやってるお芝居を
自分が演じている役を
いつだって「オススメです!」と言いたものです。



では、また。