ども、因幡(いなば)の国で生まれた岡田達也です。
田舎者だからだろうか?
僕はわりと郷土愛が強い。
……と思う。
街中を歩いていても「鳥取」という言葉を見つけるとついつい立ち止まってなんだろう?と確認するし
テレビから「鳥取」という言葉が聞こえてくると他の作業をしていても手が止まる。
将来的には鳥取県知事の椅子に座ることもやぶさかではない。
* * *
昨日も東京ドームで梅酒を売っていた。
『ふるさと祭り東京』
https://www.tokyo-dome.co.jp/furusato/event/
僕が販売しているのは『紀州 わかやま館』というコーナーの一角
その名も『紀州 鴬屋』という「どこからどう見ても和歌山のものですが何か?」というくらい和歌山色に染まったお店で働いている。
おばさまが試飲に来た。
「この梅酒は和歌山なの?」
僕は得意気に答えた。
「はい!正真正銘の紀州南高梅を使用しております!」
「和歌山のどこ?」
「田辺です!」
「あぁ、そうなの!私も和歌山なのよ!」
「へぇ、そうなんですか!」
ここまでは良い。
おばさまも郷土を懐かしみテンションが上がっているようだ。
こちらまで嬉しくなって二人とも笑顔になる。
喜んだおばさまに勢い良く訊かれた。
「お兄さんも和歌山の人?」
そりゃそう言いたくなるだろう。
『紀州 鶯屋』というハッピを着て「紀州から美味しい梅酒とみかん酒をお持ちしました!どうぞ召し上がってください!」と触れ回っているのだ。
和歌山県から売りに来た人にしか見えないと思われる。
僕はガタッとテンションを下げ答えた。
「……いいえ」
おばさまの喜びが減ったように見えた。
「……そうなの?」
ここで会話が終わればよかったのだが
おばさまは追い打ちをかけてきた。
「じゃあ、どちら?」
なぜですか?
なぜそこまで訊くんです?
僕の生まれなどどこでも良いではないですか。
僕は正直に答えた。
「と、とっ、鳥取です」
おばさまの表情が一気に曇った。
「……あっ、そぅ」
会話が止まり、気まずい空気だけが残った。
おばさまは試飲のカップを捨てて「また来るわ」と言い残し去っていった。
もちろん、二度とその方を拝見することはなかった。
おばさま、本当にごめんなさい。
お気持ちはわかります
僕も鳥取の人間に会うと気持ちが高まります。
でも悪気はなかったんです。
もしもよろしければもう一度、もう一度だけご来場ください。
お待ちしています。
では、また。