ども、両親の好き嫌いは認識しているつもりの岡田達也です。
「むかご」ってご存知ですか?
あれです、あれ。
山芋の子供みたいな、ちっちゃくて、丸くて、黒いやつ。
山芋、里芋、さつまいも……
イモというイモが大好きな母親の影響で僕は大好きなのです。
ただし、むかごを知ったのはずいぶん大人になってからだけど。
* * * * *
実家から荷物が届いた。
栗が入った赤飯と、むかごごはん
それから鳥取名物のちくわ
酒粕に漬け込んだ鮭と鯖
それから生のむかご
ありがたい。
とってもありがたい。
けっして高価なものではないけど、僕の好きなものばかり。
さすが母親だ。
息子の好みを熟知している。
頭が上がらない。
さっそく鮭を焼き、赤飯をいただいた。
美味しい。
お礼の電話をした。
「あぁ、いつも代わり映えしないものでゴメンね」
とんでもない
とても美味しかったですよ
「むかごって知ってる?」
……えっ?
「私は大好きでね」
……知ってるよ
「赤飯じゃない方はむかごごはんね」
……見ればわかるし
「生のむかごはね――」
素揚げにすると美味しんでしょ?
「あら、よく知ってるわね!」
……お母さん、何度も一緒に食べてるよ
「えぇ?そうだっけ?」
* * * * *
念の為に言っておくが母親がボケてしまったわけじゃない。
とっても不思議なのだけど、
「僕がむかごが好きだ」ということが根付かないのだ。
例えば。
僕のキュウリ嫌いは友人知人の間ではかなり有名だ。
が、僕が30歳を過ぎたくらいで
「え?あなたキュウリが嫌いだったの?気づかなかった!」
と初めて母親に認識された。
あのときはこちらもビックリしたものだ。
だって子供の頃から一度も食べてなかったのに。
それに気付かなかったということか。
このように、親子の間でも印象に残らないことってあるらしい。
「むかご」もその典型的なやつで、実家に帰って食べようとするたびに「むかごって知ってる?」という会話から始まる。
まさか電話でも繰り返すと思ってなかったので思わず笑ってしまった。
おかあさん、僕はむかごも知ってるし、大好きですよ。
今日のお弁当に持って行かせてもらいます。
では、また。