ども、初体験が早めだった岡田達也です。



むかしむかし
僕が若かったころ
まだお肌もキレイで、心も澄んでいて、前科がなかった時代のお話。
(いやいや、今でも前科は無いですよ。ご安心を)


鳥取の駅前に『エ●ドレス』というオカマバーがあった。
小さな小さなお店で、カウンターが何席かと、ボックス席が2つほどだけ。
オカマバーと言っても、オカマであるのはママのノブちゃんだけで
あとはボーイが一人、厨房に料理人が一人、というのが基本的な体制だった。

知り合いに連れて行かれた。
人生初めてのオカマバーだった。

それは
若造にはあまりにも刺激的でありすぎた。

そして
生まれて初めて見た、接した、話したオカマがノブちゃんだった。

ノブちゃん……
当時で何歳くらいだったんだろう?
相当なおじさんだったのは間違いない。
いつもキレイな服(ときには着物)を着ていた。
髪の毛もきっちりセットしてあった。
指先は白魚のように美しかった。
唇には真っ赤な口紅が引かれていた。
けっして美しい顔立ちではなかったけど、華美な装飾により女性に近付いていた。

が、このノブちゃん
残念なことに……
いや、面白いことに、声がたいそうなダミ声だった。
「あ~ら、いらっしゃい!」という声が、どう聞いてもいかりや長介さんの声にしか聞こえないのだ。


「鳥は初めて見たものを親だと認識する」らしい。
いわゆる“刷り込み”というやつだ。

人間にだって刷り込みはあるのではなかろうか?
少なくとも僕には刷り込まれた。

僕にとってオカマといえばノブちゃんなのだ。
 
 * * * * *

今、役作りを考える上で、ノブちゃんは欠かせない。
非常に大きな影響を与えてくれている。
ちゃんと生かしきれるかどうかは僕次第だけど、参考にさせてもらっているのは間違いない。


ノブちゃん、元気ですか?

あのとき出会えてて良かった。
あれから30年も経って、毎日のようにあなたを思い返してます。

あなたと歌った『銀座の恋の物語』、今でも忘れられません。



では、また。