ども、判断できなかった岡田達也です。
キャラメルボックスで数多く上演されている『また逢おうと竜馬は言った』
初演は1992年まで遡る。
以下をクリックしていただきたい。
みんな若い。
『また逢おうと竜馬は言った』(初演)
http://www.caramelbox.com/stage/1985-1995/1992_3_ryouma.html
で、僕はこの公演に演出助手として参加していた。
当然プロンプターの仕事も請け負うことになる。
そして……
いろいろご迷惑をかけた。
* * * * *
アニキこと川原和久さんと知り合ったのもこのときだった。
キャラメルボックス版・竜馬の原型を創ったのはこの人で間違いない。
僕は稽古場でもアホ面して「かっちょいいな~」とぼんやりアニキの芝居を見ていた。
が、そのうちみんなが台本を離しはじめた。
僕も台本を構えて、今か今かとプロンプの瞬間に備えた。
あるとき、アニキのセリフとセリフの間に間が空いた。
「川原さん、忘れてるな!ここだ!僕にお任せください!」
僕は素早く、小さめの声で、正しいセリフを伝えた。
が。
アニキはソッと手の平で僕を制し
「わかってるぞ」と言わんばかりに小さな頷きを2~3回入れ
次のセリフをしゃべり始めた。
「ああぁぁっ!やっちまった!今のは芝居の間だったのか!」
僕は顔から火が出そうだった。
そして休憩時間。
「達也、さっきのは間だよ」
「……すみません」
「台本ばかりに顔を落とすんじゃなくてもっと役者の顔を見てみろ。そうすれば忘れたのか、間なのかすぐにわかるぞ」
「ありがとうございます!挑戦してみます!」
休憩が開けた。
僕は台本と役者を交互に見た。
まさしく“目を皿のようにして”見ていた。
アニキのセリフが止まった!
ん?
どっちだ?
忘れたのか?
それとも間なのか?
僕は凝視した。
アニキは実にキリッとした表情をしている。
気持ちはしっかり繋がっているようだ。
これは芝居だな。
僕はそう判断して黙っていた。
が、次の瞬間……
アニキがソーッと片手を下におろし
犬を手招きするように僕に向かって小さく手を振ってくるではないか!
顔はキリッとしたままなのに!
僕は慌ててプロンプを入れた。
アニキ、ハッタリじゃないですか!
いかにも芝居が続いていきそうじゃないっすか!
雰囲気だけ続けないでくださいよ!
オレにはわかんないっす!
やっぱり難しい。
プロンプ、難易度が高い。
* * * * *
あれから23年が経った。
少しずつだけどプロンプが要るか要らないか判断できるようになってきた。
とは思う。
思うけど、やっぱり難しいのだ。
水木さんの活躍に期待したい。
というかせめて自分は迷惑かけないようにしよう。
では、また。