ども、鳥取の次元大介こと岡田達也です。



『スーパーエンタープライズ』は学園ものである。
とても真っ直ぐな、とてもバカ正直な学園ものである。
そんな芝居を毎日稽古しているものだから、ふと自分の学生時代を思い出してしまう。

 * * * * *

僕は工業高校の建築科に通っていた。
(将来は優秀な設計技師になるはずだった。どこで人生が狂ったんだろう?)
木材やら、大工道具は学校に行けば一通り揃っている。
それは、あくまでも、大切な教材のはずだ。

しかし。
高校生というのはバカである。

僕らはその大事な教材を使って、拳銃らしきものを作っていた。
中にはライフルを作っている強者もいた。
木材を切り落とし、木工用ボンドでくっつけ、万力で固定し、形を作る。
みんな格好いい拳銃を作るために必死だった。

そしてその目的は……
出来上がった銃を使って、休憩時間のたびにサバイバルゲームをするのだ。
いや、当時は「サバイバルゲーム」なんて言葉は知らなかったから
正確には「サバイバルゲームらしきこと」をしていた。

校舎の隅から隅まで使って、
廊下を走り回り、階段を駆け上がり、物陰に隠れて、
敵を見つけたら狙撃する。
しかしエアガンではなく木の銃だ。
当然「バーンッ!」と口で狙撃音を出す。
そして自己判定で撃たれたと思ったらゲームオーバーで退場する。

……バカである。
……アホである。
なんて子供じみた遊びなんだろう。
でも僕らは夢中だった。
本当に面白かった。

ある日、僕は天敵の金山くん(通称きんじ)を狙い撃つため陰に隠れた。
息を潜めて、耳を澄ませた。

コツコツコツ

来た!
廊下を歩く足音が聞こえる!
あの足音はきんじに間違いない!
ギリギリまで引き付けて一気に片を付けてやる!

ドンぴしゃのタイミングを見計らって
刑事ドラマよろしく僕は飛び出し
銃を構えてぶっ放してやった。

「バーンッ!」

渾身の狙撃だった。
間違いなくきんじの息の根を止めた。
……はずだった。

しかし、僕の目の前に立っていたのは学年主任の野島先生(通称のじぃ)だった。

あの固まった先生の顔が今でも忘れられない。
僕らはしばらく見合う形で、お互い動けないでいた。

しばらくして先生が
「……おまえなぁ」
とやっとこさ口にした。
僕はそこに被せるように
「すみませんでした!」
と叫んでダッシュで教室に逃げ帰った。

 * * * * *

ひょっとするとサバイバルゲームのパイオニアは僕らなのかもしれない。



では、また。