ども、缶チューハイは宝が好きな岡田達也です。



昨日、稽古場に向かっていた。
自家用ジェットではなく地下鉄を利用して。
(……こういう文章を書くから長くなるんだな)

車内は空いていた。
僕は先頭車両の、一番前側のイスに座っていた。

運転席の後ろに一人の男性が立っていた。
「こんなに席が空いてるのに座らないんだな……」
なんとなく思った。

いくつかの駅を過ぎた後、そのおじさんが足元に置いた荷物に近付くためにしゃがんだ。
次の瞬間。
「ドテッ!」という音と共にそのおじさんは後ろ向きに尻餅をつき、そのまま背中も床に引っ付くほど倒れてしまった。

わっ、びっくりした!

僕は助け起こそうかと思ったのだが、そのおじさんは何事もなかったかのようにすぐに立ち上がった。
しかし、その立ち上がる足元がなんとなく心許ない。

理由はないが、なんとなく、なんとなく、僕は目が離せずにいた。
と、次の瞬間、その男性の体に隠れていた右手が見えた。

ああっ!
お、おじさん!
チューハイのロング缶を握りしめてるじゃねーか!

僕は心の中で「おじさん」から「おっさん」に呼び名を代えた。
おっさん、おっさん、アカンやろ。
車内でロング缶飲んで足元フラフラさせて尻餅ついてたら。
僕だってガマンしてるんだよ。
(当たり前だ。稽古に向かう途中だろ)

僕はおっさんが周りに多大な迷惑をかけるんじゃないかとヒヤヒヤした。
駅に着いて人が乗り降りするたびに、電車が大きく揺れるたびに
「あぁ、何事も起こりませんように……」
と、お酒の神かなんなのか相手はわからないが、とにかく祈りを捧げた。

祈りが通じたのか、おっさんは何事もなく僕と同じ駅で降りていった。

ほっ。
良かった。

何だかわからないが僕は稽古場に着く前にとてもくたびれてしまった。

うん。
「人の振り見て~」だ。
僕も車内でチューハイを飲むような大人にならないようにしよう。



では、また。



追伸

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