ども、天狗になれない岡田達也です。



昨日、母親と電話していた。
切り際に
「あ、ちょっと待って!もう一つ確かめたいことがあるんだけど……」
と言われた。

その声のトーンがやや深刻であることが気になったのでなるべく軽い口調で
「はいはい、何?」
と返事をした。

すると、驚くべき話が待っていた。

「あのー、ほら、フクロスの――』

「は?フクロスって何?フクロウのこと?」

「あ、ちがった。ほら、マクロスの――」

「えっ!お母さん、超時空要塞マクロスを知ってるの?!」

「ん?何それ?」

「だって今マクロスって……」

「じゃなくて、ほら、クリリスの――」

「……ひょっとして『クロノス』のこと?」

「そう、それ!」

先日、新しくできたグッズ(『鍵泥棒のメソッド』のDVD、『クロノス』『パスファインダー』の販売用パンフレットなど)を実家に送っていた。
それが届いたのでDVDを見たり、パンフレットを読んだりしたらしい。

「あのパンフレットの中に成井さんのインタビューが載ってたんだけどね」

そういえば載ってたな。
細かいところまでは覚えてないけど。

「その中でね「この役は岡田達也にお願いしました」って書いてあったんだけど」

あぁ、『パスファインダー』の笠岡光春の役ね。
そういえばそんなことが書いてあったっけ。

「あなた、成井さんにお願いされたの?」

「うん。っていうか成井さん以外にお願いされるわけないでしょ?」

「そうじゃなくて。お願いされるってどういうこと?」

ん?
なになに?
お母さんは何に引っ掛かってるの?

「あなた、いつからそんなに偉くなったの?」

僕は思わず道端で爆笑してしまった。
だって、そのセリフがあまりに深刻なトーンだったから。

母親は僕が妙に出世したのではないかと心配している。
そして成井さんが『三顧の礼』のようにキャスティングしたのだと勘違いしてる。
僕はタイガーズに迎えられた野村監督ではない。
ただの劇団員なのだ。

「ちがうよ、お母さん!それは言葉の流れであって……」

「だって畑中さんのことは「お願いした」とは書いてなかったよ」

僕はもう一度笑った。

「だからそれは文章の流れがあるでしょ?ご心配なく!僕は偉くもなんともないから」

僕は劇団内で「偉そうにしている」かもしれないが、決して「偉い人」はない。

「そう?……だったらいいけど。ちょっと気になったから」

さすがだ。
息子の僕が言うのもなんだが、謙虚さを競わせたら日本でも有数の人だろう。
少なくとも鳥取県代表には選ばれるはずだ。


それにしても。
そこまで言われたら気になるので、今日はキャラメルボックスの事務所に行ってもう一度パンフレットを読んでこようと思う。



では、また。