ども、なまけ者代表の岡田達也です。



僕は劇場入りが早い。
それは本番を迎えるまでにやっておきたい準備が多いから。
要は小心者なのだ。
フラッと劇場に来て、何の準備もしないで、パッと本番をやる度胸が無い。
ストレッチ、筋トレ、発声、セリフを返す……
一通りのことをやっておかなければ落ち着かない。

でも。
正直に言うとこのルーティンの作業はなかなかに苦痛だったりする。
「あぁ、今日も今からこれをやるのか……」
体調が万全でないときなどは特にそう思ってしまう。

 * * * * *

昨日、ヴォードヴィルショーの『田茂神家の一族』を観てきた。
三谷幸喜作品らしい、風刺の効いた、温かい笑いのある芝居だった。

そして。
何より驚いたのは角野卓造さんの芝居。
角野さんと言えば『渡る世間~』のイメージが強いと思うけど、舞台俳優としても本当に素晴らしい方だ。
僕が最後に観たのは数年前の『こまつ座』だったが、そのときとなんら変わらない姿で舞台上を動き回っていた。

明瞭な滑舌、高い音圧、豊かな声量、響く発声……

とにかくパワフルに感じられる。
なんだけど、滑舌が素晴らしいので力で押し切っているように見えない。
客席に向かって開き(姿勢じゃなくて心情)、わかりやすい芝居と、細かな作業の同居。

あれで66歳か!
なんという芝居!
観てるだけでこっちが元気になってしまうではないか!

自分があの歳になったとき、あんなふうに芝居ができるのだろうか?
そんなことを考えてしまった。

終演後、そんな感想を漏らしたところ、一緒に来ていた文学座の上田桃子ちゃんが教えてくれた。

「それは日々のトレーニングだと思いますよ。角野さんは誰より早く劇場に入って、必ず60~90分くらいかけてストレッチ、筋トレ、発声をやるんです」

え?あのお歳で?

「欠かさないですよ。地方公演なら朝は散歩で体を起こして、それから劇場入りして、いつものメニューをされてます。あの滑舌も声量もその積み重ねだと思います」

驚いた。
66歳にしてその努力。

一方。
劇場に入って「あぁ、今日もこれをやるのか……」なんて思ってしまう自分。
これではいつまで経っても角野さんに追いつかない。
別にえなりくんに取って代わって『幸楽』を継ぎたいわけではないが、その姿勢だけでも盗みたい。

20年後、期待しててくださいな。
「あのおっさん、元気だな」と言われてる役者を目指しますぜ。



では、また。



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