ども、絡まれやすい岡田達也です。
僕は本当にでかいお風呂が好きで、しょっちゅう行く。
身体の垢と、心の垢と、108個の煩悩を洗い流すため……
のではなく、サウナで気持ち良く汗をかき、水風呂に入り、手足を伸ばして浴槽に浸かる。
この気持ち良さは何ものにも代えられない。
また、その後に飲むビールのおいしいこと。
これは、もう、文章では表せないほど美味い。
言葉にできないのは小田和正さんだけではないのだ。
ただ、これだけは言える。
汗とビールの入れ替えの瞬間、体中に電気が走る、と。
(こういうこと書くからアル中の役が回ってくるんだな……)
数日前の話だ。
都内のスパに行った。
風呂上がりのビールを目指して、サウナでせっせと汗を流していた。
そのスパにはノーマルなサウナと、スチームサウナがある。
で、スチームサウナの中には壺が置いてあって、その中に大量の塩が入っている。
スパに詳しい方には説明不要だろう。
その塩を体に擦り込むのだ。
すると毛穴に詰まった皮脂を溶かして外に出してくれる効果があるらしく、肌がツルツルになる。
後輩の小多田直樹に「達也さん、肌ガッサガサじゃないですか!」といつも言われている身としてはツルツルになりたい。
懸命に塩を体に擦り込んでいた。
全身に。
一心不乱に。
ツルツルの肌を夢見て。
……と。
サウナの隅に座っていた男の人が声をかけてきた。
「おい、あんちゃん」
声の方向に目をやると、ぶっとい金のネックレスを首から提げた、パンチパーマの、しっかりと太鼓腹なおじさん、
つまり江夏豊のそっくりさんがこっちを見ていた。
(わからない人はタイガースファンの人に訊いてね)
わぉ!
ヤ○ザじゃねーか!
なんだよ、なんだよ?
何を絡まれるんだ?
ひょっとして一生懸命塗りすぎて塩が江夏さんの方に飛んだかな?
「塩を体に塗るとなんか良いのか?」
あぁ、この人は塩サウナの効能を知らないんだ。
だからスチームサウナには入っているものの、塩を塗っていないんだ。
そりゃそうだよな。
知らなかったら塩なんか体に塗りたくないよな。
「まぁ、何と言うか、肌が……」
「ツルツルになるのか?」
「はい、そうですそうです!」
「アカスリした後みたいになるのか?」
「まぁ、ちょっと近いかもしれません」
「ふーん。じゃあ、俺も試してみるか」
江夏さんは塩を塗り始めた。
あー、良かった。
絡まれたんじゃないんだ。
ホッと胸をなで下ろしていると
「おい、あんちゃん!」
「(ひーっ!なんだよ、なんだよ?)」
「……塩が傷に染みるんだけど」
し、しらねーよ!
それは俺のせいじゃねーよ!
つーか、塩サウナのことは知らなくても、塩が傷に染みることくらいは知ってただろ!
「うん、痛いからもういいや」
そう言い残して出てしまった。
えーっ!
塗り始めて10秒もしないうちに出て行ったよ!
僕は熱いサウナの中で冷や汗をかいていた。
江夏さんが出た後、やっとおちついて普通の汗をかくことができたが。
みなさん塩は染みるのですよ。
覚えておいてください。
では、また。