ども、一足お先に千秋楽を迎えた岡田達也です。
去年のいつ頃だったろう?
キャラメルボックスの30周年第一弾が二本立てに決まったことを知った。
そして僕は『クロノス』ではなく『新作』の方に出演するらしいことも。
で。
新作のタイトルが『パスファインダー』ということを聞かされた。
『パスファインダー』だと?
何ともかっちょいいタイトルではないか!
しかし意味がわからんぞ……
調べてみた。
「パスファインダー」とは、「道(path)」を「見つける人(finder)」という意味。
英語で「開拓者」「先駆者」などのこと。
へえー、そうなんだ!
初めて知ったぞ!
また一つ賢くなってしまったではないか!
……それはさておき。
きっと新作の内容は「やたらとかっちょいい話になるのでは?」と勝手に想像してしまった。
顔合わせしたのちの本読みの日。
僕の予想は裏切られた。
「やたらとかっちょいい」というより「ふんわりやわらかい」話だった。
稽古が始まった。
自分なりの解釈でセリフを言ってみた。
こういうことかな?
こういう場面かな?
しかし……
成井さんからのダメ出しは「やってほしいことと全然違う」というものだった。
ありゃりゃ。
全然違うのか。
具体的に言うと
「もっとコミカルに」
「もっとスピーディーに」
という2点を徹底的に要求された。
「『クロノス』がああいう話なので『パスファインダー』はもっとライトに、コメディタッチに仕上げたい。そうすることで二作品の違いを際だたせたい」
ということだった。
なるほど。
イメージした。
例えば……
ラブストーリーで言えばウッディ・アレンのように
アクションもので言えばジャッキー・チェンのように
そんなテイストを持てば良いってことかな?
しかし。
キャラメルボックスで長いこと芝居をやっているが、これほど膨大な量のセリフをもらったことがない。
とてもじゃないが「セリフを吐く」のに精一杯で、「役作り」なんてほど遠いところで足掻くことしかできなかった。
(じゃぁ今までは役作りができてたんだな?とは言わないでね)
この作品の本当に面白さも理解できず、役作りも宙ぶらりん、
何の自信も確信も持てないままの大阪初日だった。
(まぁ新作というのはいつだってそういうものだけど)
そんな恐ろしい状態で始まってみると
「あぁ、そういうことなのか」
「なるほど、こういう場面だったんだ」
その連続。
僕は舞台の上で何度もお客さんの反応に驚かされた。
「なんてこった!俺よりもお客さんの方がこの作品を理解してるじゃないか!」
そこで自分が要求されていることがやっと理解できてきた。
なんとも恥ずかしくてお粗末な話だ。
でもでも。
おかげさまで、そこから先、この作品はグッと面白くなったのではないかと思う。
登場人物は少ない。
おかげで最近のキャラメルボックスでは珍しい2~3人のシーンがほとんどを占めた。
それは役者にとって逃げ場のない、責任の所在がハッキリしている、
言い換えれば負荷の高い仕事だったと思う。
でも、やれて良かった。
勝手な想像だけど、今回の出演者のみんなも同じようなことを思ってるんじゃないかな?
僕は「開拓者」でも「先駆者」でもないただの「アル中(軽症)」だけど、この作品のおかげでまた一つ「道」を「見つける」ことができたのかもしれない。
ご来場、ありがとうございました。
では、また。