ども、鳥取のMJこと岡田達也です。



昨日、日記を書き飛ばし急いで駅へ向かった。
早く志木市に行かねばならない。
ホームに駆け上がると人集りになっていた。

……イヤな予感がする。

アナウンスが聞こえてくる。
「特急電車の遅れによりダイヤに影響が出ています」
さらに掲示板には
「京王線の車両故障のためJRで振り替え輸送を行っております」

当たった。
当たってしまった。
最悪のパターンだ。

7分遅れの電車がやってきた。
ドアが開く。
吐き出されるように押し出される人々。
乗車率は少なく見積もっても200%を超えている。
車内で呼吸できているのだろうか?

数人が下りた後、再びラグビー早慶戦のようなタックルを決めながら電車に突進していく人たち。

僕は、劇場入りの日だった。
そのためにいつもの荷物だけではなく
左手にメイク道具の入った小さなキャリーバッグを引いていた。

このバッグを引きながら電車に乗れるのだろうか?
試しに一歩踏み込んでみた。
弾き飛ばされた。
……これでは相撲部屋のぶつかり稽古と同じではないか。
なぜ劇場に行く前にそんな激しい稽古をしなければならないのだ?

一本見送り、二本目の電車を待った。
ダメだ。
どうやっても乗れるわけがない。
三本目を待った。
もう、ここで、勝負を決めるしかない。
これを逃すと遅刻する可能性がある。

二本目の電車を見送った後、ホームの一番前に立ち、なんとか電車に滑り込んだ。
その僕の背中に老若男女が見事なタックルを決めてきた。

* * * * *

キャラメルボックスの『ミスター・ムーンライト』というお芝居をご存じだろうか?
オープニングはダンスシーンから始まるのだが、
男優陣がオフ・バランス(ジッとしたまま傾斜している状態)で踊り始める。

もっとメジャーなところで言えば
マイケルジャクソンの『スムーズ・クリミナル』。
MJとバックダンサーの人たちが前に倒れ込んでいくが、あり得ないところで止まるヤツ。
あれもオフ・バランスの一種だ。

見ているぶんには「すごいなぁ」と思えるのだが。

* * * * *

車内の僕は、背中からタックルを決められ、あろうことか左足の踵が浮いた。
右足のつま先もギリギリ着地している感じだ。
そして。
前のめり、やや右にオフ・バランスした状態のまま固定されてしまった。

きたっ!
これは!
一人、スムーズ・クリミナルだっ!
一人、車内でのMJだっ!

……呼吸が止まりそうな鳥取生まれのMJもどきは
「半分宙に浮いたままオフ・バランス」
というイリュージョンを決めながら新宿に着いた。


そして今日。
昨日と同じ時間の電車に乗る予定。
……今から恐ろしい。




では、また。



追伸

本日、志木市で幕を開けます。
プレビューなのでお客さんの数は多くないのですが、とにかく初日を楽しんできます。