ども、失ってばかりの岡田達也です。
昨日の朝、かなりの冷え込みだった。
そうだ、マフラーを巻いていこう。
お気に入りの真っ青なマフラー。
あれ?
ない?
ないないないないないない……
どうしよう、無くしちゃったのかな。
* * * * *
大学3回生の時、『ハスラー2』という映画がはやった。
トムクルーズとポールニューマン。
そりゃ、どちらもカッチョイイに決まってる。
おかげで日本中の人が影響を受けた。
ビリヤード場に行けばどこも満員。
1時間や2時間待ちなど当たり前だった。
もちろん僕も影響を受けた一人。
ビリヤード場に毎日通い、ひたすら球を撞いた。
寝ても覚めても球が撞きたくて、いよいよビリヤード場でアルバイトを始めてしまった。
大阪の金剛にあった『トライアングル』というお店。
5台しかない小さなお店だったけど、マスターの人柄もあってか、良い常連さんが多くとても賑わっていた。
そしてアルバイトの人間はみんな大阪芸大の学生たち。
その中に一つ年上の先輩で「ハルミさん」という女性がいた。
もうずいぶんと記憶が曖昧になってしまっているけど……
ハルミさんはバイク乗りだった。
250だったか400だったか。
とにかくバイクに跨っている姿が格好良かった。
ハルミさんはタバコを吸っていた。
当時、僕は女性がタバコを吸うのを嫌っていたのだがハルミさんだけは別だった。
とても絵になるのだ。
みんな優しく丁寧に仕事を教えてもらっていた。
当然後輩たちから見たら、典型的な憧れの先輩だった。
そのハルミさん、冬になると青いマフラーをしていた。
何の柄もない、ただただ真っ青なマフラー。
それがまた大人っぽくてステキだった。
僕は、そのときから、マフラーを探して回った。
ハルミさんと同じような
ひたすら真っ青な
どこまでもどこまでも気持ち良い色のマフラー。
一切の妥協無く、似たようなものを見つけても買わなかった。
青いマフラーなんてどこにでもありそうだけど、そうじゃない。
満足行く色の、あの青を求めて、ずーっと探し続けた。
数年後。
『クレヨンオム』というブランドの、それはそれは見事なブルーのマフラーを見つけて買った。
それが、どれほど嬉しかったことか。
そのマフラー20年以上巻いている。
大切に大切に使っているから傷んでもいない。
* * * * *
そんなマフラー。
無くすなんて信じられない。
その日に行ったお店には全部電話してみたけどどこにもない。
あぁ、神さま。
酔っぱらった自分が悪いんです。
それはわかっています。
でもでも、生きていればヤケになるときくらいあるのです。
お芝居頑張るのでマフラー返してください。
……って、大切なものを無くすとすぐに神頼みするんだよな。
では、また。