ども、クイック&スローの岡田達也です。



稽古中、演出の田村くんからダメ出しがあった。

「早いです。今の芝居は早すぎます」

……なるほど。
たしかに今まで稽古していたスピードより早いとは思った。
こう見えてそのあたりは敏感に感じる。
しかし「早すぎる」というダメ出しが来るとは思わなかった。

「今の芝居は、僕の言葉で言えば“行間が無い芝居”なんです。僕は、舞台俳優の仕事は、どれだけ行間を膨らませてくれるか、だと思っているんです」

……なるほど。

「役者さんは生理的な部分で折り合いがついてくると、どんどん反射でセリフを言えるようになります。だから稽古すればするほど早くなるんです」

……確かに。

「でも、前のセリフを確実に受け取って、感じて、それからリアクションしてくだされば早くなることはないんです。どうかそこを新鮮に保ち続けてください。稽古は回数を重ねていくから相反する作業をしていくわけですけどね。新鮮さをどうやったら保てるのか?僕は役者じゃないんでわかりませんが(笑)」

田村脚本を演じる上で、とてもわかりやすく貴重なアドバイスだった。
有り難いお言葉だ。

田村くんの言うとおり、稽古を重ねていけば心理的な流れに無理が無くなる。
稽古の序盤はつっかかって出にくいセリフというものがどうしてもある。
それは心理的に(感情の流れに)無理があるからなのだが、何度も稽古しているとそこのパイプが繋がるので楽にしゃべれるようになる。
その他のセリフも頭と体に定着すれば、どんどんスピードアップできる。

で、だ。

キャラメルボックスでは「早ければ早いほど良い」とされる。
テンポは死守せねばならない。
だから稽古していろんなことが流れ出すと、行間を潰していく作業が始まる。

つまり、行間で何かを感じさせるか、それを不必要な間に感じさせるか、の違い。
これは脚本の特徴、演技スタイルを込みにしての話なので、どちらが正解というものではない。

あくまでも
田村くんの本では田村くんのやり方で、
成井さんの本では成井さんのやい方で、
という方法論で良い。

そして、これこそが客演の醍醐味だと感じる。

違う方法論に出会うこと。
それを消化できる力を身に付けること。
自分の引き出しを増やすにはそれしかない。

早く、遅く。
自由自在を目指して。



では、また。